(五)
「ねえ。お名前、なんて言うの? あたし、小夜子。」
「キャハハ、名前も知らずにお話してたなんて。
あたしは、れいです。なんでも、零式戦闘機から付けたらしいんです。
女の子ですよ、これでも。失礼しちゃうわ、ほんとに。
だから、腹いせにね、男勝りになってやったんです。
ね、ね、この腕見て。ほら、力こぶが凄いでしょ? 近所では、ガキ大将なの。
でも、小夜子さんを見てたら、なんだか恥ずかしくなってきちゃった」
「いくつなの?」
「えっと、十二。中学一年生。小夜子さんは?」
「ふふ…いくつに見える?」
「うーんとね。十代じゃないだろうし、二十、と、ね…分かんないよ」
「それじゃ、宿題ね。学校の宿題は、やってる?
あたしは、自慢じゃないけど、いつも早めに済ませたわよ」
「宿題はねえ…」
目をクルクルと回しながら、落ち着かない様子で辺りを見回している。
「どうしたの? 誰か、探してるの?」
「うん。お友だちがね、来てるはずなんだけどね。
お父さんが居るとね、現れないの。
怒られるものだから、いっつも木の陰に隠れてね、いるの。
あっ、見いっけた。
ほら、あそこに木が何本かあるでしょ? その端っこの、あの木の陰に隠れてる。
あたしを見つけて、ほら、尻尾を振ってるでしょ?」
と、二人が宿泊している旅館の脇の樹木を指さした。
「ねえ。お名前、なんて言うの? あたし、小夜子。」
「キャハハ、名前も知らずにお話してたなんて。
あたしは、れいです。なんでも、零式戦闘機から付けたらしいんです。
女の子ですよ、これでも。失礼しちゃうわ、ほんとに。
だから、腹いせにね、男勝りになってやったんです。
ね、ね、この腕見て。ほら、力こぶが凄いでしょ? 近所では、ガキ大将なの。
でも、小夜子さんを見てたら、なんだか恥ずかしくなってきちゃった」
「いくつなの?」
「えっと、十二。中学一年生。小夜子さんは?」
「ふふ…いくつに見える?」
「うーんとね。十代じゃないだろうし、二十、と、ね…分かんないよ」
「それじゃ、宿題ね。学校の宿題は、やってる?
あたしは、自慢じゃないけど、いつも早めに済ませたわよ」
「宿題はねえ…」
目をクルクルと回しながら、落ち着かない様子で辺りを見回している。
「どうしたの? 誰か、探してるの?」
「うん。お友だちがね、来てるはずなんだけどね。
お父さんが居るとね、現れないの。
怒られるものだから、いっつも木の陰に隠れてね、いるの。
あっ、見いっけた。
ほら、あそこに木が何本かあるでしょ? その端っこの、あの木の陰に隠れてる。
あたしを見つけて、ほら、尻尾を振ってるでしょ?」
と、二人が宿泊している旅館の脇の樹木を指さした。
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