昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

愛の横顔 ~RE:地獄変~ (二十五)妙子には、ええええ、

2025-01-22 08:00:59 | 物語り

 妙子には、ええええ、残酷な一面もございます。
そんな恋文をお仲間うちで見せ合いをしましてね、笑い話としているのでございます。
殿方たちもいいかげんに諦めれば良いものを。
自分が落としてみせる、などと。若さゆえのことでございましょうか。
まるでゲームをしているが如くでございます。
わたくしどもの少女時代では考えられぬ所業でございましょ?

 なぜにそこまで娘を貶めるのか、ですって。
なんとも思われないのですか。
娘の所業を、みなさまはお認めになるので? 
よろしいですわ、お話しましょう。

 たしかに、体をこわしてしまったときのことですが、娘に正夫の世話を頼みました。
一応は夫でございますので、家事全般はわたくしがしておりましたし。
罪滅ぼしのつもりがなかったといえば嘘にはなります。
お店に立ちましてのお客さま相手も、わたくし以外にやる者もおりませんし。
まあ、日がな一日顔をつきあわせなくて済みますしねえ。

 ただ、わたくしの思い描いていたことだけでなく、わたくし以上の世話をしはじめまして。
父と娘という範疇を超えてのこと――正夫の閨に入りこんでのことですとか、朝の身支度の世話とか、とにかく枚挙に暇がありません。
妙子も考えてのことだとは思うのですが、どうにもその真意がはかりかねます。
一度たしなめはしたものの、それ以後もsg6l、正夫のねやにも……。
いえいえ間違いが起きるとか、そのようなことは思ってはおりません
。妙子との血のつながりを疑っているとはいえ、いくらuyでも。

 はあ? わたくしのやきもちがある? ほほほ、やめてくださいませ。
あんな男に嫉妬心など。正夫の献身ぶりにほだされてなどとは仰らないでくださいまし。
それに、まったく妻としての勤めを果たしていないわけでもございませんし。
月に一度は、この身をまかせておりますわ。
それで十分でございましょ? 
そしてわたくし自身も店に立っておりますし。

 和菓子は、なんと申しましても店売りです。
お味ですか? 関係ありませんわ。
それなりでいいのです。老舗、銘店ならばいざ知らず、きのう今日できたお店など。
看板娘がいかに大切か、父の店での手伝いで、よーく分かっております。
わたくしが店先に立つようになってからは、以前の倍とまではいかずとも、三割四割は増えておりましたから。
わたくしども女の、お客さまとの軽妙なやりとりなぞ、男には到底まねできるものではありません。



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