それは、快い朝の目覚めだった。
昨日の朝のことが、まったく嘘のようにさえ思える。
これ程にも土地柄の違いというものが、
人間に影響を与えるのであろうか。
今にして街での空しさを知り、
また街での処し方がいかに難しいかを知った。
それは次に来るべき明日の予測を誤った者が味わう、
惨めすぎる程の挫折
-仮に想像の域を脱しないものだとしても-が、
多大な不安を与える。
真っ青な空に、二つ三つの白い雲。
その間をぬって風は流れ、その風の流れに雀も飛び交う。
今、畑のあぜ道を、鍬をかついで歩く腰の曲がった老人がいる。
春にはれんげ草が咲き乱れ、多くの子どもたちがそこに寝転び、
蝶々と戯れるのだろうか。
しかし今は、老人が歩いている。
十年前の自分に戻りたいとは思わない。
しかしもう一度、
故郷のれんげ草のにほいを嗅ぎたいとは思う、自分だ。
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