昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

心象風景  第三弾:【ある時の彼女】 (十)

2010-05-31 20:12:16 | 小説
(生殺与奪権)

子どもが泣きやむと、
次にこの子の母親を目で追った。

周りの誰も、
彼女と子どもに関心を寄せない。

彼女はその時、
体全体に自由と責任を痛切に感じた。

大袈裟にいえば、
この子どもの生殺与奪権を握っているのだ、
と感じた。

今までの彼女には
思いもよらなかったことだ。

今までの彼女は、
夫に守られていたのだ。
両親に守られていたのだ。

自由と責任、
あるようでなかった。

今、
自由と責任を初めて認識したのだ。

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