大長編恋愛小説 【ふたまわり：第二部】（三）の８

店の中は、
眩いばかりだった。
全くの別世界に迷い込んだように、
三人は感じた。
フルバンドが演奏する轟音の中、
にこやかにボーイが駆け寄ってきた。
「いらっしゃいませ、加藤さん。
今夜は、部下の方同伴ですか。
おや？社長さんは・・どちらに・・」
「うん。今夜は、社長は欠勤だ。
どうやら、皆勤賞は俺が頂きだな。」
「加藤さん。
月に二回や三回では、皆勤賞は上げられないです。
せめて、週一回はお出でにならなくちゃ。」
「そうか、そりゃ厳しいな。
懐と、相談しなくちゃな。」
「何を、おっしゃいますやら。
評判ですよ、富士商会さんのことは。
独り勝ちしてる、と。」
「ハハハ・・他人の庭は良く見えるもんさ。
今夜は、若い者を楽しませてやつってくれ。
こいつらなら、皆勤賞を取るかもしれんぞ。
いい娘を、付けてやってくれ。
俺は、ミドリだ。」
「分かりました、お任せください。
皆勤したくなるような女性を、選ばさせてもらいます。
ところで、どんな女性がお好みですか？」