(一)
「実はな、小夜子。
そのアナシ、、えぇい、アーシアって呼ばせてくれ。
アーシアはな、睡眠薬の飲みすぎだったんだ。
聞いたか? アーシアから。」
小夜子の反応をうかがいながら、武蔵はゆっくりと話を続けた。
「ううーん、何にも。
そう、睡眠薬を飲んでたの?
やっぱり、早く小夜子が行ってあげれば良かったのね。」
「そうだな、ほんとにそうだな。
けど、俺が寂しくなるがな。
小夜子、落ち着いて聞いてくれよ。
五平の調べによるとだ、」
突然小夜子の指が、武蔵の声を遮った。
武蔵の唇に手を当て、小夜子が口を開いた。
「ちょっと待って。
アイス、溶けてない?
タケゾーにも上げようと思ってね、アーシアには一つしか上げなかったのよ。
偉いでしょ、小夜子。
タケゾーのことも、キチンと考えてるんだから。」
テーブルのアイスに手を伸ばして、
「おかしいわ、おかしいわよ。
こんなの、絶対おかしい!」
と、金切り声をあげた。
「どうした?
大丈夫だぞ、俺に話してみろ。」
「アーシアに一つ上げたのよ。
なのに、三つ入ってる。
開けたとき、三つだったのよ。
なのに、なのに、どうしてなの!」
「小夜子、それは違うぞ。
五つ、入ってた筈だ。
五平に、五つ買ってこいと言ったんだ。
三つはな、身を切ると言って縁起が悪いだろう?
四つは死だしな。だから五つにしろ、ってな。」
五平の購入数など知る由もない武蔵だが、何とかなだめようとする武蔵だ。
「そっか、そうだよね。
小夜子の勘違いだね。
ね、食べよう。」
と、武蔵に差し出す小夜子。
「どうせなら、小夜子に食べさせて欲しいがな。」
(二)
「もう、甘えん坊ね。
いいわ、じゃ、アーンして。」
「うん、うまいぞ。
こんなにうまいアイスは、初めてたぞ。」
相好を崩して、小夜子が運ぶアイスをほおばる。
「でしょ、でしょ。
アーシアも、美味しいって言ってた。」
「大っきな目をね、まん丸にしてね、
“フクースナ!”って言ってくれたよ。」
「なんだ?」
「ハハハ、フ、クー、ス、ナ、だよ。
タケゾー、分からないんだ? ロシア語は。」
武蔵の口の中で、スプーンが踊る。
カチカチと、歯に当たり音を立てる。
「ロシア語でね、おいしいよって言う意味なの。」
得意げに小鼻を膨らませる、小夜子。
思わず抱きしめたくなるような、小夜子だ。
「小夜子はロシア語が分かるのか?
そいつは凄いぞ!
ソビエトと貿易を始めたら、小夜子が通訳してくれ。」
「うふふ……いいよ。
通訳してあげる。
アーシアにいっぱい教えてもらうから。」
どうしてもアナスターシアから離れない小夜子だ。
「実はな、小夜子。
そのアナシ、、えぇい、アーシアって呼ばせてくれ。
アーシアはな、睡眠薬の飲みすぎだったんだ。
聞いたか? アーシアから。」
小夜子の反応をうかがいながら、武蔵はゆっくりと話を続けた。
「ううーん、何にも。
そう、睡眠薬を飲んでたの?
やっぱり、早く小夜子が行ってあげれば良かったのね。」
「そうだな、ほんとにそうだな。
けど、俺が寂しくなるがな。
小夜子、落ち着いて聞いてくれよ。
五平の調べによるとだ、」
突然小夜子の指が、武蔵の声を遮った。
武蔵の唇に手を当て、小夜子が口を開いた。
「ちょっと待って。
アイス、溶けてない?
タケゾーにも上げようと思ってね、アーシアには一つしか上げなかったのよ。
偉いでしょ、小夜子。
タケゾーのことも、キチンと考えてるんだから。」
テーブルのアイスに手を伸ばして、
「おかしいわ、おかしいわよ。
こんなの、絶対おかしい!」
と、金切り声をあげた。
「どうした?
大丈夫だぞ、俺に話してみろ。」
「アーシアに一つ上げたのよ。
なのに、三つ入ってる。
開けたとき、三つだったのよ。
なのに、なのに、どうしてなの!」
「小夜子、それは違うぞ。
五つ、入ってた筈だ。
五平に、五つ買ってこいと言ったんだ。
三つはな、身を切ると言って縁起が悪いだろう?
四つは死だしな。だから五つにしろ、ってな。」
五平の購入数など知る由もない武蔵だが、何とかなだめようとする武蔵だ。
「そっか、そうだよね。
小夜子の勘違いだね。
ね、食べよう。」
と、武蔵に差し出す小夜子。
「どうせなら、小夜子に食べさせて欲しいがな。」
(二)
「もう、甘えん坊ね。
いいわ、じゃ、アーンして。」
「うん、うまいぞ。
こんなにうまいアイスは、初めてたぞ。」
相好を崩して、小夜子が運ぶアイスをほおばる。
「でしょ、でしょ。
アーシアも、美味しいって言ってた。」
「大っきな目をね、まん丸にしてね、
“フクースナ!”って言ってくれたよ。」
「なんだ?」
「ハハハ、フ、クー、ス、ナ、だよ。
タケゾー、分からないんだ? ロシア語は。」
武蔵の口の中で、スプーンが踊る。
カチカチと、歯に当たり音を立てる。
「ロシア語でね、おいしいよって言う意味なの。」
得意げに小鼻を膨らませる、小夜子。
思わず抱きしめたくなるような、小夜子だ。
「小夜子はロシア語が分かるのか?
そいつは凄いぞ!
ソビエトと貿易を始めたら、小夜子が通訳してくれ。」
「うふふ……いいよ。
通訳してあげる。
アーシアにいっぱい教えてもらうから。」
どうしてもアナスターシアから離れない小夜子だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます