昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (五十四) 三

2013-02-25 19:39:34 | 小説

(三)

ま、女衒を生業にしていたあたしです。
ろくな者じゃなかった。

日陰の道を一生歩くことになってたんです。
それが、武さんのお陰で、お天道さまの下を歩けるんです。

感謝してます。
いやいや、本当の話です。

小夜子さんは、アナスターシアとか言うモデルでしょうな。
それまで無理をしていたと思いますよ。

砂上の楼閣でしたでしょう。
いつ崩れるとも分からぬ、ですな。
必死の演技でしたでしょう。

それを、アナスターシアと言うモデルによって、演技ではなくなった。
いや演技をする必要がなくなった。

これは大きい。
鎧を身にまとう必要が無くなったんですから。

ところが、突然の死だ。
ふわふわの状態に逆戻りだ。

大きな船から、大海原に落ちたも同然だ。
飛行機からジャングルの中に落ちたも同然です。

全身から針を出している、山嵐ですよ。

そんな折に、白馬の騎士だ。
御手洗武蔵と言う、ね。

ところが、今まで邪険にしてきている。
ほいほい貢いでくれる男ぐらいにしか考えていなかった。」


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