(三)
ま、女衒を生業にしていたあたしです。
ろくな者じゃなかった。
日陰の道を一生歩くことになってたんです。
それが、武さんのお陰で、お天道さまの下を歩けるんです。
感謝してます。
いやいや、本当の話です。
小夜子さんは、アナスターシアとか言うモデルでしょうな。
それまで無理をしていたと思いますよ。
砂上の楼閣でしたでしょう。
いつ崩れるとも分からぬ、ですな。
必死の演技でしたでしょう。
それを、アナスターシアと言うモデルによって、演技ではなくなった。
いや演技をする必要がなくなった。
これは大きい。
鎧を身にまとう必要が無くなったんですから。
ところが、突然の死だ。
ふわふわの状態に逆戻りだ。
大きな船から、大海原に落ちたも同然だ。
飛行機からジャングルの中に落ちたも同然です。
全身から針を出している、山嵐ですよ。
そんな折に、白馬の騎士だ。
御手洗武蔵と言う、ね。
ところが、今まで邪険にしてきている。
ほいほい貢いでくれる男ぐらいにしか考えていなかった。」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます