ミドリとの出会いから一年が経ち、ささやかなお祝いの食事をすることになった。
「今夜は、早く帰る」と、告げてアパートを出た男だったが、チラシ印刷のミスが発生し、その事後処理で遅くなってしまった。
午前を回って帰宅すると、食卓に並べられてあるご馳走の中で、ミドリはうつ伏せになっていた。
が、男が声をかける間もなくミドリは起きた。
少し目が赤い。
「悪かったよ。残業が長引いてしまった」
「お帰りなさい。あなたが頑張ってらっしゃるのに、ウトウトしてしまって。ごめんなさい。温め直しますから」
ミドリは、遅くまでの残業で疲れているだろう男を、眠ったまま迎えた自分が情けなかった。
男は、そんなミドリのかいがいしさがたまらなかった。
もう少し、拗ねてみせるか怒って欲しかった。
麗子ならば…と、未だに比較してしまう己が情けなかった。
ミドリにしても、正社員として働いているのだ。
もっと自分を出してもいいのに、と思ってしまう男だった。
そうすれば、男もまた感情を表に出せるのだ。
鬱屈とした思いを抱えたままの二人で、それがまた二人を苦しめた。
「今夜は、早く帰る」と、告げてアパートを出た男だったが、チラシ印刷のミスが発生し、その事後処理で遅くなってしまった。
午前を回って帰宅すると、食卓に並べられてあるご馳走の中で、ミドリはうつ伏せになっていた。
が、男が声をかける間もなくミドリは起きた。
少し目が赤い。
「悪かったよ。残業が長引いてしまった」
「お帰りなさい。あなたが頑張ってらっしゃるのに、ウトウトしてしまって。ごめんなさい。温め直しますから」
ミドリは、遅くまでの残業で疲れているだろう男を、眠ったまま迎えた自分が情けなかった。
男は、そんなミドリのかいがいしさがたまらなかった。
もう少し、拗ねてみせるか怒って欲しかった。
麗子ならば…と、未だに比較してしまう己が情けなかった。
ミドリにしても、正社員として働いているのだ。
もっと自分を出してもいいのに、と思ってしまう男だった。
そうすれば、男もまた感情を表に出せるのだ。
鬱屈とした思いを抱えたままの二人で、それがまた二人を苦しめた。
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