(二)
今にも泣き出しそうな空の下、役場の前をタクシーがゆっくりと過ぎた。
追いかけるようにして
「助役さん、居るかの?」
と、慌てふためいて茂作翁の兄である繁蔵と若い男が入ってきた。
「はぁ。おられますが、ご用件は?」
「居ればいい。
おい、いくぞ!」
と、若い男を急き立てるようにして助役室に向かった。
「助役さん!」
「な、何です、いきなり。
職員を通してもらわんと、まずいですがの。」
うず高く積まれた書類の陰から顔を出して、苦言を呈す助役。
「そんなことはどうでもいい!
びっくりじゃ、びっくりじゃ!」
「どうでもいい、ってそうはいきませんて。
ここは役場ですから、公私のけじめはキチンとしてもらわんと。」
なおもこだわる助役に、繁蔵の怒りが爆発した。
「あぁもう! 一大事ぞ、小夜子が帰ってきたんだよ。
この富男が見たらしい。」
今にも泣き出しそうな空の下、役場の前をタクシーがゆっくりと過ぎた。
追いかけるようにして
「助役さん、居るかの?」
と、慌てふためいて茂作翁の兄である繁蔵と若い男が入ってきた。
「はぁ。おられますが、ご用件は?」
「居ればいい。
おい、いくぞ!」
と、若い男を急き立てるようにして助役室に向かった。
「助役さん!」
「な、何です、いきなり。
職員を通してもらわんと、まずいですがの。」
うず高く積まれた書類の陰から顔を出して、苦言を呈す助役。
「そんなことはどうでもいい!
びっくりじゃ、びっくりじゃ!」
「どうでもいい、ってそうはいきませんて。
ここは役場ですから、公私のけじめはキチンとしてもらわんと。」
なおもこだわる助役に、繁蔵の怒りが爆発した。
「あぁもう! 一大事ぞ、小夜子が帰ってきたんだよ。
この富男が見たらしい。」
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