昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

大長編恋愛小説 【ふたまわり】(一)の6

2011-02-18 18:33:02 | 小説
「決して出所のおかしな物じゃありません。
親分さんには包み隠さずお話しますが、
どうぞ他へはお洩らしにならぬように。」
驚く五平に対し
「親分さんなら大丈夫、
義侠心のお方だから。」と、
制した。
「GHQでございます。
この加藤の親戚筋が、
GHQにコネがありまして。
ま、
いろいろ手を尽くしたわけでして。」
さすがのGHQで、
その威光には顔役といえども歯が立たない。

「あたしらはね、
半端者です。
額に汗して働くことができない、
クズ共の集まりです。
ですがね、
堅気さんたちをね、
理不尽なことからお守りするためにゃ、
命を賭けます。
筋の通らないことは、
決して許しません。
御手洗さんでしたな、
ご商売に精をお出しなさい。
事あるときにゃ、
命を張ってお守りしますよ。」
柔和な表情の中でも、
眼光の鋭さは消えない。

「ありがとうございます、
何よりのお言葉です。
それでは店が立ち上がりましたら、
改めて伺わせていただきます。
本日は貴重な時間をいただきまして、
まことにありがとうございました。」


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