昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

X’mas version 恋獄の世界

2009-12-21 18:04:05 | 小説
初恋の人の想い出は、雲海のような煙のたちこめる中でのことだった。

その人の亜麻色の髪から漂うその甘い香りは、私をどことへなく連れ去った。

私は、現実の世界から飛び立つ。

私は、支えるものも無く、私はその中を歩いた。

私は、跳び続け、酔いしれたーいや酔いしれすぎた。

そしてそのあまり、私の脳裏に焼き付けられた初恋の人は、
この世に存在してはならない人になった。

雲海のような煙のたちこめる中で、その人は香りだけを漂わせる。

決して姿を見せないーそんな人でなければならなかった。

そしてその時の私自身も、鏡のない世界に居なければならない。

私自身の姿さえわからないーそう、『恋獄の世界』。

私は、初恋の人を、そこに置いてしまった。

そしてそれが為に現実世界にいたその人を忘れがちとなり、
遂には破局への道を歩き始めた。

『恋獄の世界』に、初恋の人は想い出として、残された。

私の脳裏深くに、一服の絵画が焼き付けられた

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