その翌朝、
次郎吉は何くわぬ顔で中間に会いに行った。
そして、
大騒ぎをしている光景を
冷ややかな目つきでながめた。
中間は、
“それどころじゃねえよ。”と、
次郎吉を疑うこともなく、
追い返した。
一般的に、
盗みは夜の侵入ではあるが、
次郎吉は、
昼の内に潜り込むこともあった。
中間の居る江戸部屋もしくは総部屋に通ると偽り、
その足で厠に入り、
夜を待つのである。
そして家人が寝静まった頃に、
ゆうゆう奥向に盗みに入る。
他の盗人は、
武家屋敷に代々伝わる骨董品等を盗むこともあるが、
次郎吉は金子だけにしていた。
そして、
できるだけ三両・五両の少額にしていた。
着物・道具類は大枚の金になることもあるが、
売り捌いた折りにそこから足がつくこともある。
次郎吉に、
盗みにかけてそれ程の才能があったわけではない。
唯、
建具職・鳶職の手伝いが、
今になって幸いしているのである。
それに付け加え、
稲葉小僧なる盗賊を調べたにすぎない。
次郎吉は何くわぬ顔で中間に会いに行った。
そして、
大騒ぎをしている光景を
冷ややかな目つきでながめた。
中間は、
“それどころじゃねえよ。”と、
次郎吉を疑うこともなく、
追い返した。
一般的に、
盗みは夜の侵入ではあるが、
次郎吉は、
昼の内に潜り込むこともあった。
中間の居る江戸部屋もしくは総部屋に通ると偽り、
その足で厠に入り、
夜を待つのである。
そして家人が寝静まった頃に、
ゆうゆう奥向に盗みに入る。
他の盗人は、
武家屋敷に代々伝わる骨董品等を盗むこともあるが、
次郎吉は金子だけにしていた。
そして、
できるだけ三両・五両の少額にしていた。
着物・道具類は大枚の金になることもあるが、
売り捌いた折りにそこから足がつくこともある。
次郎吉に、
盗みにかけてそれ程の才能があったわけではない。
唯、
建具職・鳶職の手伝いが、
今になって幸いしているのである。
それに付け加え、
稲葉小僧なる盗賊を調べたにすぎない。
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