(十三)
「帝王切開って。あの、お腹を切るってやつですか?」
「あぁ。母体が危ないと判断したら切りますから、ご了解くださいだとさ。書類に署名もさせられた」
「そうですか、それはそれは。ちと、大事にされすぎましたね。仇になったってわけですか」
「うん、考え違いをしたよ。小夜子にも赤子にも、悪いことをしてしまった。今、反省しているところだ」
「ましかし、医者に任せるしかないでしょう。それにあの医者は、名医だって話ですし。
大丈夫ですよ、きっと。切らずに済みますって。
ケロッとして、そんな話しましたか? って顔で、医者が出てきますって」
「あぁ、そう願ってるよ。さてと、それじゃ帰るとするかな。
ここに居たって、何もすることもないしな。明日は忙しいことだし。
確か、午前に二社と午後に一社来るんだったよな?」
腰を浮かせる武蔵を五平が押し留めた。
「そりゃ、そうですが。何でしたら、日を改めてもらえるようお願いしますが」
頭を振りながら
「馬鹿を言うな。小夜子はお産、俺は商売だ。
稼がなきゃ、小夜子は怒るだろうさ。これからまた、金がかかるだろうからな」
と、受けあわない。
通りかかった看護婦を呼び止めて
「看護婦さん。この名刺を産科の婦長に渡してもらえないか。
裏に自宅の電話番号を書いてある。よろしく頼むよ」と、頼み込んだ。
「分かりました、婦長に渡しておきます。
あ、差し入れをありがとうございました。みんなで美味しくいただきました。
分娩室の看護婦たちは、交代時にいただきます」
と、深々と礼をした。
「おう、産科の看護婦さんか。小夜子の面倒、頼むよ。
我ままな女だから面倒をかけると思うけれど、よろしくな」
と、今度は武蔵が頭を下げた。
「帝王切開って。あの、お腹を切るってやつですか?」
「あぁ。母体が危ないと判断したら切りますから、ご了解くださいだとさ。書類に署名もさせられた」
「そうですか、それはそれは。ちと、大事にされすぎましたね。仇になったってわけですか」
「うん、考え違いをしたよ。小夜子にも赤子にも、悪いことをしてしまった。今、反省しているところだ」
「ましかし、医者に任せるしかないでしょう。それにあの医者は、名医だって話ですし。
大丈夫ですよ、きっと。切らずに済みますって。
ケロッとして、そんな話しましたか? って顔で、医者が出てきますって」
「あぁ、そう願ってるよ。さてと、それじゃ帰るとするかな。
ここに居たって、何もすることもないしな。明日は忙しいことだし。
確か、午前に二社と午後に一社来るんだったよな?」
腰を浮かせる武蔵を五平が押し留めた。
「そりゃ、そうですが。何でしたら、日を改めてもらえるようお願いしますが」
頭を振りながら
「馬鹿を言うな。小夜子はお産、俺は商売だ。
稼がなきゃ、小夜子は怒るだろうさ。これからまた、金がかかるだろうからな」
と、受けあわない。
通りかかった看護婦を呼び止めて
「看護婦さん。この名刺を産科の婦長に渡してもらえないか。
裏に自宅の電話番号を書いてある。よろしく頼むよ」と、頼み込んだ。
「分かりました、婦長に渡しておきます。
あ、差し入れをありがとうございました。みんなで美味しくいただきました。
分娩室の看護婦たちは、交代時にいただきます」
と、深々と礼をした。
「おう、産科の看護婦さんか。小夜子の面倒、頼むよ。
我ままな女だから面倒をかけると思うけれど、よろしくな」
と、今度は武蔵が頭を下げた。
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