昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(八十二) 生まれてきて良かったと

2014-03-20 21:54:59 | 小説
(七)

「それから、お母さん。
お母さんには、ごめんなさいとしか言いようがないわね。
親不孝な娘で、ごめんなさい。

でもお母さん。
あたしはお母さんの娘として生まれてきて良かったと、心底思っています。
勝利という立派な弟を与えてくれたことも、ほんとにありがたいと思っています。

こんな病弱な姉を持った勝利が不憫だとは思うけれど、これからは、天国に召されたあたしが、勝利をしっかりと見守ります。

それで勘弁して頂戴と、そう伝えてね。
大丈夫、大丈夫よ。あたしはちっとも不幸だなんて思ってないから。

ごめんなさい、おしゃべりが過ぎたみたい。
少し眠らせてね。大丈夫、また起きるから。

でね、お母さん。今度起きたらね、我がままを言っていい? 
一度だけ、一度だけでいいから、ビーフステーキとか…」


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