よく晴れ渡った日曜日、
正三は駅舎の横に立っていた。
夜も明けやらぬ暗い中、
煌々と輝く街灯の下に立っていた。
[次のお休みの日、
駅舎横に始発前に来てください。
小夜子]
これだけの文面だった。
味も素っ気もない。
確かに妹の幸恵に念押しされたように、
恋文ではない。
“照れ隠しで、
幸恵に言ったんだろう。”と、
期待に胸をふくらませた正三だった。
しかし封を開けて便箋を広げて、
そしてみごとに裏切られた。
「分かりました、
と伝えろ。」とだけ、
言う正三だった。
「ねえねえ、
どんなお願いなの?
教えてよ。」
幸恵はしつこく聞いてくるが、
正三にも答えようがない。
「けちねえ、
お兄さん。
でもまあ、
その顔だと、
恋文ではなかったようね。
そうよね、
小夜子さまが
お兄さんなんかを相手になさるわけないわ。」
そう決め付ける幸恵に対し、
正三はひと言も言い返さなかった。
しかし何度も頭で反すうしてみると、
おかしなことに、
何かしら淫靡な思いに囚われてきた。
正三は駅舎の横に立っていた。
夜も明けやらぬ暗い中、
煌々と輝く街灯の下に立っていた。
[次のお休みの日、
駅舎横に始発前に来てください。
小夜子]
これだけの文面だった。
味も素っ気もない。
確かに妹の幸恵に念押しされたように、
恋文ではない。
“照れ隠しで、
幸恵に言ったんだろう。”と、
期待に胸をふくらませた正三だった。
しかし封を開けて便箋を広げて、
そしてみごとに裏切られた。
「分かりました、
と伝えろ。」とだけ、
言う正三だった。
「ねえねえ、
どんなお願いなの?
教えてよ。」
幸恵はしつこく聞いてくるが、
正三にも答えようがない。
「けちねえ、
お兄さん。
でもまあ、
その顔だと、
恋文ではなかったようね。
そうよね、
小夜子さまが
お兄さんなんかを相手になさるわけないわ。」
そう決め付ける幸恵に対し、
正三はひと言も言い返さなかった。
しかし何度も頭で反すうしてみると、
おかしなことに、
何かしら淫靡な思いに囚われてきた。
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