(十三)
「面白かったねえ。」と感想を洩らす私に対し、
友人は
「あの人を救おう、人間に戻すんだ。
狼少年ですら、戻れたんだ。
大丈夫、愛を持って接すれば、きっと真人間に戻れるさ。」
と、息せき切って話し始めた。
気乗りのしない私ではあったが、友人のあまりの剣幕に押し切られた。
「あの赤ら顔の男の言うことなんて、みんな嘘っぱちだ。
蛇しか食べさせてないんだ、きっと。
だって、考えてもみろよ。
もしも僕らと同じごはんを食べるようになったらだぜ、蛇なんか食べなくなるだろ?
そうしたら、見世物にならないじゃないか!
誰が好き好んで蛇なんか食べるんだよ。」
目を輝かせて語る友人に対し、
「でもぉ……」と、消極的な姿勢を見せる私だった。
「助け出さなきゃ、世界中から笑われちゃうぜ。
いや、笑われるだけならまだましだ。
馬鹿にされて、軽蔑されてしまう。
野蛮な国だって、思われちゃうんだぜ。」
そんな風に熱っぽく語る友人に異論を挟む余地はなく、次第に私も又その行為に酔い始めた。
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