人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

すっきりわかる!~小川仁志著「超訳”哲学用語”事典」を読む

2012年05月11日 06時53分32秒 | 日記

11日(金).今日はウィーン・フィルの創設者オットー・ニコライの命日,1849年5月11日のことでした ニコライは1841年にウィーン宮廷歌劇場の楽長に就任,翌1842年3月にはウィーン宮廷楽団員の自主演奏団体「フィルハーモニア・アカデミー」による最初の演奏会を開催しました.いわばウィーン・フィルの創設者です 1849年にはオペラ「ウィンザーの陽気な女房たち」を作曲上演,彼の名をドイツ・オペラ史上不朽のものにしました.その初演から2か月後の今日,彼は脳梗塞で倒れて息を引き取りました

ここに1組のCDがあります.ウィーンの巨匠ハンス・クナッパーツブッシュがウィーン・フィルを指揮してシュトラウス等のワルツやオペラの序曲を集めた2枚組CDです.この中に「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲が収められています クナッパーツブッシュはシュトラウスの曲のリハーサルを始める時,ウィーン・フィルのメンバーに「この曲は皆さんはよく知っています.私もよく知っています.それではこれでお終いにしましょう」と言って帰ってしまったというエピソードの持ち主です.朴訥でウィーン情緒たっぷりの演奏が聴けます

 

          

 

  閑話休題  

 

小川仁志著「超訳”哲学用語”事典」(PHP文庫)を読み終わりました  著者の小川仁志(ひとし)さんは1970年京都府生まれの哲学者です。京都大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。退職後、4年間のフリーター生活の後、名古屋市役所に入庁。市役所に勤務しながら名古屋市立大学大学院で博士号を取得(人間文化)したという変わり種です 商店街で「哲学カフェ」を主宰するなど、市民のための哲学を実践しています

筆者がこの本を書こうと思った動機は「はじめに」にもあるとおり,「哲学用語の難解さをなんとかしたい!」という想いです.「よく哲学用語が難解なのは,翻訳のせいであるといわれます.どうしてもその状況を変えてたかったのです」と書いています

難解な哲学用語を「あいうえお順」ではなく,6つの章に分けて解説しています.第1章「よく目にする&耳にする頻出用語」(アイロニー,ルサンチマンなど),第2章「常識として知っておきたい用語」(弁証法,テーゼなど),第3章「チンプンカンプンのカタカナ用語」(アプリオリ,ドグマなど),第4章「入試問題でも見かける漢字系の用語」(唯物史観,形而上学など),第5章「日常の用法とはちょっと意味の異なる用語」(批判,実在など),第6章「本格派向けの高度な用語」(現象学,絶対知など)に分類しています

私も”皆さんと同じように”普段,哲学とは無縁の生活を送っていますが,新聞や書籍などを読んでいると,たまに「哲学用語」らしき言葉が出てきて「いったいどういう意味だろう?」と疑問に思うことがあります.そういう時に即,役に立つのが本書です

たとえば,「ルサンチマン」は「サンドウィッチマン」の弟ではなく,「負け惜しみ」と超訳しています.普通の辞書では「怨恨」とか「妬み」と訳されているはずです.また,「カタルシス」は「スッキリすること」と訳しています.これも普通の辞書では「浄化」とされていると思います.超訳でスッキリ分かります

巻末に「あいうえお順」による索引が掲載されているので,辞書として利用することができますが,私は「哲学の入門書」として読みました タイトルが「辞典」ではなく「事典」になっているところに意味があると思います.日常生活に飽き足らない人にお薦めします

 

          

コメント (2)
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