人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「未完成」「運命」「新世界より」を聴く~読響創立50周年記念・サマーコンサートより

2012年08月17日 06時56分23秒 | 日記

17日(金)。昨夕、サントリーホールで読売日本交響楽団創立50周年記念事業「三大交響曲」公演を聴きました 指揮は読響特別客員指揮者・小林研一郎です

プログラムは毎年恒例の三大交響曲①シューベルト「交響曲第7番ロ短調”未完成”」、②ベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調”運命”」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番ホ短調”新世界から”」の3曲です

自席は1階17列2番.今回はいつもと違うA席で端っこの席です 会場はほぼ満席.開演に当たりアナウンスが入ります

「拍手は指揮者のタクトが降ろされるまでご遠慮くださるようお願いいたします

こういうアナウンスが入るのは異例です.在京オーケストラの”定期演奏会”ではあり得ません オーケストラを見渡すと,コンサートマスターは伊藤亮太郎という人ですが,初めて見る名前です 首席クラスの人の顔もあまり見かけません.それと,いつもより女性の割合が多いように思います よく見ると,フルートの2人の女性のうちの一人が東京交響楽団のフルーティストにそっくりです まさか,この公演のために客演したのか,と思いましたが,プロオケ同士の楽員の”交換”はないのではないか,と思い直しました.もし本当に客演だったとしたら,他にもよそのオーケストラの奏者が混じっているのではないか,と疑問が生じます 読響の定期会員だったらこんなことに悩むことはないのでしょうが・・・・・・

オーケストラの配置で気が付いたのは,通常ホルンは左サイトにいるのが,右サイドにスタンバイしていたことです.これは指揮者の指示によるよるものでしょうが,どういう意図があるのか分かりません

1曲目「未完成交響曲」では,小林はいつものように,歌わせるところはたっぷり歌わせて,テンポを揺らします 彼は第1楽章と第2楽章のあいだに”間”を置かず,あたかも1つの楽章であるかのごとく演奏しました ”終演直後”に2階席からブラボーと拍手が起こったのはどうしたことでしょうか 事前に異例のアナウンスによる注意があったにもかかわらず,指揮者のタクトがまだ降りていないときにブラボーと拍手があったのです もしオリンピックの100メートル走でフライングしたら,その走者は失格になります.それと同じように当事者には退場してほしいと思います 一番がっかりしたのは当の小林研一郎とオーケストラだったでしょう

音楽をナマで聴く醍醐味は,演奏直後の一瞬の”しじま”だといっても過言ではありません 演奏が終わるや否やブラボーをかけたり,拍手をしたりするのは”非常識”です.せっかくの良い演奏を台無しにしているのです.当事者の猛省を促します

2曲目の演奏のため,ホルンが左サイドに移り,人数も4人編成に拡大します.ベートーヴェンの「運命交響曲」の演奏では,小林は時に唸り声を上げてオケをグングン引っ張ります この曲も終わるや否や「ブラボー」がかかりましたが,さほど不自然さはありません.曲によるのです.未完成ではあり得ません.小林は例によって,各セクションごとに立たせて拍手を求めます

プログラムの前半終了後は,通常20分の休憩がありますが,さすがに3つの交響曲を演奏するため15分に短縮されています

3曲目のドヴォルザーク「新世界交響曲」は,何と言っても第2楽章が聴きどころです イングリッシュホルンによる「家路」のテーマは,いつ聴いても心に沁みます また,同じメロディーを弦楽器の首席クラス8人が演奏するところは”室内楽的”な親密さが出ていてすごく良いと思います この曲も終演後,もうすこし”間”を置いてから拍手とブラボーがほしかったな,と思いました

定期演奏会でない”特別演奏会”の時は,こうしたリスクがつきもののようです そのリスクを見越しての事前アナウンスだったのでしょうが,聞くべき人が聞いていないのでは何の意味もありませんね

終演後,いつものように小林が拍手を制して演説を始めました

「3つの大きな交響曲を一夜で演奏するには,大きな決断が必要とされます.本日の演奏はいかがだったでしょうか.今日はアンコールはございません(会場笑).これからも読売日本交響楽団の演奏会にお出かけください

これほどサービス精神旺盛な指揮者も珍しいでしょう 彼は他のオーケストラに客演するときは「読売交響楽団」の部分を,その時に客演したオーケストラに言い換えて挨拶しています 飯森範親氏も言っていました「指揮者はサービス業だ」 かつて指揮者といえば,”俺についてこい”というイメージが強かったものですが,現在ではオーケストラと聴衆に奉仕するサービス部門の責任者みたいなものでしょうか より良い演奏をするためには仕方のないことだとは思いますが,今は亡きオットー・クレンペラー等が大好きな私にとっては,ちょぴり寂しい気もします

 

          

 

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2 コメント

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余韻が・・・・ (炎のタロー)
2012-08-17 22:07:53
私も2階席LA3-23で聴いていました。

たしかに一曲の未完成終了(間際)にブラボーが飛び出しましたね・・・静かに終わったのにビックリです。

今月8月2日のソウルフィルの未完成では曲が終了してから一瞬の空白の時間があり余韻を味わえたのに・・・

読響の演奏が良かっただけに残念!!

どうか静かに終わる曲の時は息を止めて!!・・の
思いです。
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余裕を・・・・ (tora)
2012-08-18 06:17:03
炎のタローさん,まったくそのとおりですね.心に余裕をもって聴いてほしいと思います
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