人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

9月公演の番宣か?~藤原歌劇団による「ベッリーニの世界」を聴く

2012年07月01日 07時46分31秒 | 日記

7月1日(日).はやいもので今年も今日から後半戦に突入です.オノオノ方,油断召さるな,後半もあっという間ですぞ

昨日の日経朝刊文化欄に「革新の作曲家 先入観覆す ドビュッシー生誕150年」という記事が載りました その中で気になったのは,ピアニストでエッセイストの青柳いづみこ氏によるコメントです

「日本でドビュッシーは今も印象派の作曲家として誤解されている.モネの絵のような色彩を意識して演奏されることが多い」

記事はさらに「だが象徴主義やデカダン(退廃)派の詩人らと接したドビュッシーはむしろ,そこから影響を受けているという」と続けています.つまり青柳氏がそう述べているということです

これを読んで不思議だと感じたのは,これまで何の疑問もなく,ドビュッシー=印象派という認識でいたのが間違っていたのか,ということです 「モネの絵のような色彩を意識して演奏されることが多い」が,それは誤解に基づく間違った演奏なのか,ということです それでは,そういう風に演奏している多くの演奏家はどこの誰にドビュッシーの音楽の演奏解釈を習ったのでしょうか 国内外の音楽大学ではないのですか?そうであれば,これまで誤解に基づく演奏解釈を教えてきた音楽大学こそ諸悪の根源ということになります

「世は歌につれ,歌は世につれ」と言われますが,演奏解釈は時代とともに移り変わる,と言ってしまえば済む問題なのでしょうか 音楽素人の私にはよく分かりません よくご存知の方に教えていただきたいものです

 

  閑話休題  

 

昨日,銀座ヤマハホールで「ベッリーニの世界~藤原歌劇団による銀座の午後のコンサート」を聴きました 出演は,藤原歌劇団の次世代を担う若きホープたちです 清水理恵,古澤真紀子,宮本彩音(以上ソプラノ),吉田郁恵(メゾ・ソプラノ),曽我雄一(テノール),小田桐貴樹(バス)の6人で,ピアノ伴奏は浅野菜生子です

ヤマハホールは3月29日に萩原麻未他による「フランスの情景」公演を聴いて以来3か月ぶりです

エレベーターを7階で降り,受付でチケットをもぎられ,らせん状の階段を上がるとやっとホール1階(8階)ホワイエです.上まで上がった女性が連れの男性に「トイレはどこ?」と尋ね,男性は「7階にあるよ」と答えていました.女性は「あら,やっと上がってきたかと思ったら,また下までおりなきゃならないなんて・・・・」と不平を言っていました 私も同感です.ワインやコーヒーのサービスも7階にしかないのです.一旦8階に上がったら何も飲めないしトイレもないのです.お年寄りにはキツイ,文字通り”不便”なホールです 

開演前に7階のホワイエから外の銀座通りを写しました

 

          

 

開演に当たり,藤原歌劇団の公演監督・岡山廣幸氏が登場し,作曲者ベッリーニの生涯を簡単に紹介,藤原歌劇団が9月8日,9日の2日間,新国立劇場でベッリーニの歌劇「夢遊病の女」を上演する,本日はそのダイジェスト版を演奏する旨を解説しました それで分かりました.要するに,このコンサートは9月公演を宣伝するための(テレビで言うところの)番宣なのだ,ということです もちろんこの日に歌う人たちは9月の本番で歌うわけではありません.それにしても,この岡山という人は声がまるでバリトン歌手です.かつて藤原歌劇団で歌っていたのかもしれません

自席はM14番で,右サイドの通路側,後ろから3列目です.会場はほぼ9割の入りでしょうか

第1部はベッリーニの歌曲の部です.最初にソプラノの宮本彩音が淡いブルーに白い花をあしらったドレスで登場,「激しい希求」を歌いました.よく通る声です

次にバスの小田桐貴樹が「美しいニーチェよ」を歌います.深い声ですが,ちょっぴり不安定なところがありました

3番手はメゾ・ソプラノの吉田郁恵がブルーに白の斜線が入ったドレスで登場,「喜ばせてあげて」を歌いました.体格を生かした安定した歌い振りでした

4番目にテノールの曽我雄一が「お行き,幸せなバラよ」を歌いました.声は良いのですが,突っ立って歌っているのが気になります

5番目にソプラノの古澤真紀子が水色に白のマーブルを配したドレスで登場し「優雅な月よ」を歌いました.ある意味,この人には”華”があります

第1部の最後は,ソプラノの清水理恵が白のドレスで登場,「マリンコニーア」を歌います.全員聴いた中ではこの人が一番堂々たる歌い振りでした

以上で第1部が終了しましたが,ほんの20分です.「これから20分間の休憩に入ります」のアナウンスには,「20分で6人が歌って,20分の休憩は長すぎないか?」と思いました

休憩後,再び岡山監督が登場し,第2部で歌われるベッリーニの「夢遊病の女」のあらすじを解説,歌と歌の合間にアリアの解説をしていきます

歌劇「夢遊病の女」から,ソロで,デュオで,あるいは四重唱,五重唱で歌いますが,印象に残ったのは宮本彩音(アミーナ)と曽我雄一(エルヴィーノ)によるデュオ「そよ風がうらやましい」,清水理恵(アミーナ)と小田桐貴樹(ドロルフォ伯爵)によるデュオ「私はなにをみているのか」,そして最後に清水理恵がソロで歌った「ああ,信じられないわ~思いもよらないこの喜び」です

この日歌った人たちの中から,いつかオペラのヒーロー,ヒロインを歌い演じる人が出て来るかもしれません.楽しみです

ここで忘れてはならない人がもう一人います.ピアノ伴奏を務めた浅野菜生子です.この人は一昨年,ソプラノのノルマ・ファンティー二がリサイタルを開いた時にピアノ伴奏を務めた人です.その時も思いましたが,歌手を立て,出すぎることなく,アクセントを付けるべきところでは明確にメリハリを付けるといった,素晴らしいピアニストです

 

          

 

コンサートが終わって,歩行者天国の銀座通りを歩いて有楽町方面に向かいました 銀座通りの商店街にはどこにも七夕飾りが人々を出迎えていました(写真は銀座三越前).

 

          

 

銀座通りの裏道に回ると,風鈴が売られていて,親子連れで賑わっていました.風情があっていいものですね

 

          

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