2日(月).昨日,上野の東京文化会館で「響きの森第31回コンサート~ブラームス&ベートーヴェン」を聴きました プログラムは①ブラームス「悲劇的序曲」,②同「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調」,③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」で,演奏は山下一史指揮東京都交響楽団,ヴァイオリン独奏は渡辺玲子,チェロ独奏は長谷川陽子です.渡辺玲子は6月9日に東京フィルとのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴いて以来ほぼ3週間ぶりです
午後1時半開場ですが,文化会館には時間前から長蛇の列が・・・・・・自席は1階17列12番の通路側で,文化会館の中ではかなり良い席です.会場は5階席までほぼ満席の盛況です
コンサートマスターの山本友重のリードでチューニングが始まります 第2ヴァイオリンにはエンカナ(遠藤香奈子)さんが笑みを浮かべてスタンバイしています
山下一史のタクトが振り下ろされ第1曲目のブラームス「悲劇的序曲」が始まります この曲はブラームスが1880年の夏にオーストリアの保養地バート・イシュル滞在中に,「大学祝典序曲」とともに書き上げた曲です.短い曲ですがドラマチックな心を揺さぶる曲です.オーケストラは渾身の力を込めて演奏します
演奏後,第1ヴァイオリンが一旦舞台袖に下がり,2曲目のブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲(ドッペル・コンチェルト)」の準備のためチェロ用の台が運ばれます
この曲は当時,不和状態にあったヴァイオリニストのヨアヒムとの和解を図ろうという意図がありましたヨアヒムとその妻アマーリエとの間に離婚問題が起こった時,ブラームスはアマーリエを励ます手紙を送ったことから,友情にひびが入ってしまったのです ブラームスは,彼と仲直りするきっかけを作るために,ヴァイオリンとチェロという珍しい組み合わせの協奏曲を作曲し,ヨアヒムにヴァイオリンを弾いてもらうようにしたのです
長谷川陽子がパープルの,渡邊玲子がグリーンを基調としたドレスで山下とともに登場,スタンバイします 渡辺は長谷川と並ぶのではなく,斜め後ろに立ちます.あまり目立とうとしない彼女の性格でしょうか.山下のタクトが振り下ろされ,総奏による第1主題が提示され,続いてチェロの独奏が入ってきたとき,「これはいける」と確信しました.コンチェルトの場合,最初に独奏がどのように入るかで,その演奏の善し悪しがある程度分かります.長谷川のチェロは集中力に溢れフル・オーケストラに対峙します
第2楽章「アンダンテ」はなんと穏やかな曲なのでしょうか ヴァイオリンとチェロが親密な対話を交わしているようです.山下は第2楽章から第3楽章にかけて間を置かず連続して演奏します.軽快な舞曲のようなメロディーが心地よく響きます そして圧倒的なフィナーレを迎えます
指揮者もオーケストラもソリストの長谷川陽子と渡辺玲子を称えます.ブラームスらしい演奏に聴衆も大満足で拍手を惜しみません.
ところで,隣席の高齢男性が終始,身を乗り出して聴いているのです.しかもガムを噛みながら 身を乗り出しても,聴こえる音に違いはないと思うのですが,こういう人は一つ前の席に座ったとしても間違いなく身を乗り出すのでしょうね.悲しい性癖です こういう人は,他人に迷惑をかけていることに気が付いていないのです.座席の位置は人が普通に座っていれば舞台が見えるように出来ているのです.それを不自然に前かがみになったり,頭を左右に傾けたりすると,後ろの席の人が舞台が見えなくなるのです 音楽を聴く者にとって,これは常識です
休憩後のベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」は,あの「のだめカンタービレ」で有名になった曲です.この日,コンサートに来た人の中にも,あの番組・映画を見てナマで聴く機会を待っていた人が少なからずいたのではないかと思います
私はベートーヴェンの交響曲の中では,この曲が最も好きな曲ですが,とくに第4楽章フィナーレの高揚感が何とも言えません.チェロ,コントラバスによるうねるような音楽が耳を離れません 都響を聴くといつも思うのは弦楽器の素晴らしさ,とくにヴァイオリン・セクションの美しさですが,この日はチェロ,コントラバスといった低弦の響きが印象に残りました
会場一杯の拍手 とブラボーの嵐に応えて,シューベルトの「ロザムンデ~間奏曲」を穏やかに演奏しました 山下は指揮台に上がらず,手で指揮をしました.プログラミングといい,演奏といい,素晴らしいコンサートでした
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