10日(月)。わが家に来てから今日で3681日目を迎え、アメリカを訪問した石破首相は日本時間の8日未明、ホワイトハウスでトランプ大統領と初めての首脳会談に臨んだが、石破首相はお土産に地元・島根県にある老舗人形店の「金の兜」を贈った というニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプに勝って兜の緒を締めるか 言いくるめられて兜を脱ぐか これからが勝負!
昨日、NHKホールでN響2月度Aプロ定期演奏会を聴きました プログラムは① ツェムリンスキー「シンフォニエッタ 作品23」、②R.シュトラウス「ホルン協奏曲第1番 変ホ長調 作品11」、③ドヴォルザーク:交響詩「のばと 作品110」、④ヤナーチェク「シンフォニエッタ」です
演奏は②のホルン独奏=ラデク・バボラーク、指揮=ペトル・ポペルカです
ペトル・ポペルカは1986年、プラハ生まれ。コントラバス奏者として2010年から9年間、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団で副首席を務め、2019年から指揮活動を開始しました 2020年~2023年にノルウェー放送管弦楽団首席指揮者、2022年からはプラハ放送交響楽団の首席指揮者兼芸術監督を務めており、今季からウィーン交響楽団の首席指揮者も兼任するという若手実力者です
オケは14型で、左からヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは今年4月からN響第1コンサートマスターに就任する長原幸太です
1曲目はツェムリンスキー「シンフォニエッタ 作品23」です この曲はアレクサンダー・ツェムリンスキー(1871-1942)が1934年に作曲、1935年2月19日にプラハで初演されました
第1楽章「極めて活き活きと」、第2楽章「バラード:極めてゆっくりと(ポーコ・アダージョ)、しかし引きずらずに」、第3楽章「ロンド:極めて活き活きと」の3楽章から成ります
小宮正安氏のプログラムノートによると「マーラーの交響曲にも通じる濃厚な官能性や退廃美が溢れている」作品とのことですが、私には初めて聴く曲ということもあって、良く分かりませんでした ただ、躍動感溢れるポペルカの指揮ぶりにすっかり魅了されました
動きが大きい割にまったく無駄のない指揮ぶりです
特にフルート、オーボエ、クラリネットの演奏が印象的でした
2曲目はR.シュトラウス「ホルン協奏曲第1番 変ホ長調 作品11」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1882年から翌83年にかけて作曲、1885年3月4日にマイニンゲンで初演されました
第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります
古典派の形式は神童モーツアルトのホルン協奏曲を意識していたことは明らかでしょう
この曲はホルン奏者だった父フランツに献呈されています
ホルン独奏のラデク・バボラークは1976年チェコ生まれ。8歳からホルンを学び、プラハ音楽院で研鑽を積む 1994年に難関のARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、世界的な注目を集めた
ミュンヘン・フィルやベルリン・フィルでソロ・ホルン奏者を務め、ソリストとしても世界のオーケストラと共演を重ね、室内楽にも力を入れています
ポペルカの指揮で演奏に入りますが、バボラ―クは超絶技巧を駆使して明解な演奏を繰り広げました ポペルカ ✕ N響はソリストにピタリと付け、独奏者を引き立てました
満場の拍手とブラボーの嵐の中、カーテンコールが繰り返されました バボラークはアンコールにピアソラ「タンゴ・エチュード第4番」を鮮やかに演奏、再び満場の拍手に包まれました
プログラム後半の1曲目はドヴォルザーク:交響詩「のばと 作品110」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)がエルベンの民話詩集「花束」に基づいて1896年に作曲、1898年3月20日にブルノでヤナーチェクの指揮により初演されました
「のばと」の物語と構成は①葬送行進曲の調べに乗って若妻が夫の死を嘆いている
(実は、彼女は夫を毒殺していた
) ②彼女は別の若い男と出会い、恋に落ちる
③2人の結婚披露宴でボヘミア風の舞曲が演奏される
④前夫の墓に詣でたところ、夫殺しの真相を野鳩に暴露された若妻は自殺する
⑤若妻の魂は超越的な力により許され、浄化される
ーというものです
弦楽器は16型に拡大し、ポペルカの指揮で演奏に入ります ポペルカのタクト捌きは鮮やかで、「のばと」のストーリーが演奏によって手に取るように分かりました
この曲を聴くのは確か3度目だと思いますが、これほど明晰に耳に入ってきたのは初めての経験です
ポペルカは侮れないと思いました
カーテンコールに応えるポペルカを見ていたら、顎髭をたくわえた彼の顔が、ちょっとドヴォルザークに似ているな と思いました
最後の曲はヤナーチェク「シンフォニエッタ」です この曲はレオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)が1926年に作曲、同年6月26日にプラハで初演されました
第1楽章「アレグレット」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「モデラート」、第4楽章「アレグレット」、第5楽章「アンダンテ・コン・モート」の5楽章から成ります
オケの後方にバンダ(トランペット9、バス・トランペット2,テナー・チューバ2)が横一列でスタンバイします
ポペルカの指揮で第1楽章に入ますが、この楽章は金管によるファンファーレが華やかに演奏されます 金管のバンダとティンパニによるファンファーレを聴くと、村上春樹著「1Q84」(2009・2010年刊行)を思い出します
小説の中で確か3回くらい登場しました
第2楽章以降はファンファーレの動機が様々な変奏で展開しますが、最後の第5楽章で再びファンファーレが戻ってきます
「やっぱりこの曲はファンファーレ」だよね、と言いたくなります
ポペルカは卓越したタクト捌きでN響から色彩感溢れるサウンドを引き出しました
満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました ポペルカは素晴らしい指揮者だと思います
ちなみに、私は2022年8月20日にポペルカ指揮東京交響楽団の演奏を聴いています プログラムは①ウェーベルン「夏風の中で」、②ベルク「ヴォツェック」より「3つの断章」(ソプラノ=森谷真理)、③ラフマニノフ「交響的舞曲」です
当時のブログ(8月21日付)を読み返すと、ポペルカに対する私の評価は当時と今と変わっていないことが分かります
ポペルカは素晴らしい指揮者です
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