6日(月).昨日,東京文化会館小ホールで東京都交響楽団メンバーによる室内楽トークコンサートVol.12「ショスタコーヴィチの叙情《弦楽四重奏&ピアノ》」を聴きました 演奏曲目は,当初予定になかったモーツアルト「アダージョとフーガハ短調K.546」が最初に演奏され,2曲目にシューベルト「弦楽四重奏曲第14番ニ短調”死と乙女”」,最後にショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調」が演奏されました
演奏は,田口美里,小林久美(以上ヴァイオリン),小林明子(ヴィオラ),江口心一(チェロ),小川典子(ピアノ=ゲスト)という面々です
自席はG列18番,中央やや左サイドです.会場はほぼ9割の入りでしょうか.4人の弦楽奏者が登場します.田口が明るめのブルー,小林(久)が濃紺,小林(明)が濃いブルーのドレス,黒一点の江口がブルーのシャツと,全員がブルー系で統一しています 暑い夏に海の清涼感をもたらすという演出でしょうか
演奏に当たり,田口がマイクを持ってこの日のコンサートの趣旨を説明します
「当初,モーツアルトの”アダージョとフーガ”は演奏する予定はありませんでした.私はこの曲を今回演奏することになって初めて知りました.家で練習していると,夫が”この曲のCD持っている”と言うので,”もっと早く言ってよ”と返しました あまり接する機会のない曲ですが,聴いている人はいるものだなと思いました.この曲を聴くと”ドン・ジョバンニ”や40番のト短調交響曲を思い浮かべます 続いて演奏するシューベルトの”死と乙女”は健康と精神面で危機を克服した後に生み出した2つの弦楽四重奏曲の内の一曲です(もう1曲は”ロザムンデ”) シューベルトは第2楽章で,死神と乙女との対話を扱った自作の歌曲”死と乙女”のメロディーをテーマにしています.それではお楽しみください」
4人は一度舞台袖に戻り,再度登場して1曲目の「アダージョとフーガ」の演奏に入りました.最初から力のこもったテーマが胸に迫ります.短い曲ですが,4人が実力者揃いだということが分かる演奏です
次いでシューベルトの「弦楽四重奏曲第14番ニ短調”死と乙女”」の演奏に入ります.これも,最初から集中力に満ちた素晴らしいアンサンブルです 都響の弦楽セクションは素晴らしいことで定評がありますが,こうした一人一人素晴らしい演奏家が集まっているからだ,とつくづく納得させられます 聴いている方が思わず手に力を入れたり,頭の中で拍子を取ったり,演奏に引き込まれていきます
終演後はブラボーがかかり,会場一杯の拍手です.
休憩後に,ピアノの小川典子を加えて5人が登場します.会場から「おーっ」という感嘆の声が.全員がお色直しして,今度は黒を基調にしたドレスやシャツで登場したのです 小川は黒のドレスに赤の帯でアクセントを付けています.黒はスターリン政権下のソヴィエト,赤は共産党を示唆したものでしょうか いや,考えすぎですね
ショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調」はあまり聴く機会のない曲です.ショスタコーヴィチはスターリン政権下のソヴィエトで,共産党国家の芸術方針=社会主義リアリズムと芸術家としての良心との狭間で苦悩しながら作曲活動を展開したことは良く知られています そんな彼が,名誉回復をはかった交響曲第5番以降,ベートーヴェン四重奏団と出会い,弦楽四重奏曲や,このピアノ五重奏曲を作曲するようになります
第1楽章「レント」はピアノの独奏で始まりますが,小川のピアノがズシンと心臓に響きます.まるでバッハの曲を聴いているような感じです 第2楽章「アダージョ」は緊張感に満ちた曲想で,厳粛なメロディーが続きます
第3楽章「アレグレット」は一転して底抜けに明るいスケルツォですが,”わざとらしさ”が漂っています
第4楽章「レント」は緊張感漂うと同時に抒情的なところも垣間見える曲想です 次いで第5楽章「アレグレット」に入ります.軽妙な感じの曲で,最後のフィナーレ部分は,曲が着地するのではなく,どこかへ飛んでいくような不思議な終わり方をします
終演後はもちろん大きな拍手が会場を満たし,あちこちからブラボーがかかります 彼らの演奏によってこの曲が実に素晴らしい曲であることが分かりました.この曲のCDを持っていないので,欲しくなりました 彼らは3回舞台に呼び戻され,小川典子がアンコール曲の解説をします
「第1次世界大戦が迫る緊迫に満ちた中,シェーンベルクが作った”鉄の旅団”という曲です.おもしろい曲です.聴いて下さい」
この曲をどう表現すればいいのか.まるでシュランメルンの作ったホイリゲ(酒場)で流れる楽しい音楽のような感じと言えばいいのか 5人は演奏しながら,時に「もういっちょ」と叫んだり,動物の鳴きまねをしたり,いびきをかいたり,とにかく演奏する側も楽しんでいる様子が伺えました
これが本当にあのしかめ面をしたシェーンベルクが作曲したのか,と疑問に思うほど”12音階”からほど遠い楽しい音楽なのです シェーンベルクもこういう楽しい音楽をもっと沢山書いていれば好きになったかもしれないのに,と率直に思いました
良いコンサートだったかどうかを判断する私の基準として「もう一度彼らの演奏を聴きたくなったか?」,「演奏を聴いてその曲が好きになれたか? 馴染みの曲でも,一段と好きになれたか?」というのがあります.その点から言えば,今回の都響の室内楽コンサートは,これから2回でも3回でも聴きたいと言える”良いコンサート”でした
気分を良くして東京文化会館を後にJR上野駅に行ったのですが,「東京駅で人身事故があり,山手線は内回り,外回りとも運転を見合わせております.復旧の見込みは立っていません」とのアナウンスが流れていました 仕方ないので,駅で「振替乗車票」をもらって暑い中,地下鉄・上野御徒町まで歩きました 都営大江戸線で春日まで出て,都営三田線に乗り換えて巣鴨まで帰りました.人身事故に合われた方のご無事をお祈りしますが,正直言って迷惑なんですよね,この暑いのに遠回りは・・・
〔都響プログラム7,8月号に「振替乗車票」をアレンジ
してみました~地下鉄都営大江戸線車内にて撮影〕
オケに近い席だったら,左右のサイドよりも,1階席の出来るだけ前の席がベターだと思います.いつか,チェロの前で聴いたら低音部が凄い迫力で迫ってきました
今度から一人で行く時はオケに近い席にしようと決心したし、マーラー、挑戦します(^-^)/
もちろんマーラー,ブルックナーはナマで聴くのがベストです.大管弦楽のシャワーを浴びると日頃のストレスが解消します
なんか苦手意識のある作曲家…ショスタコもですが、マーラーとかR.シュトラウスとかブルックナーとか…長いですよね…がんばって聴こうとすると眠気に襲われてしまって(-_-;)こういう作曲家の作品は、生演奏で聴くと迫力があって良いのかもしれませんね…
ショスタコ苦手とか・・・・・私の苦手克服法は,CDで全楽章を根を詰めて聴くのでなく,特定の1楽章だけ集中して聴くようにして,徐々に他の楽章に広げていくのです.要するに予習のやり方次第ですね
この公演、コンサート仲間に誘われてたんですよ…でも私は宮本文昭さん指揮の新日本フィル、「真夏のチャイコフスキー」に行きたかったので、昨日は一人でサントリーホールに聴きに行きました。すごく良かったですよ(^-^)v
私、ショスタコに苦手意識があり…難しいですよね…集
中しなきゃと思いながら聴いてるとどんどんわからなくなってきて…(-_-;)モーツァルトとシューベルトは聴きたかったんですけどね♪行きたいコンサートが重なると、ホントに困りますね(;_;)