21日(月).今日の合言葉は「君は金環日食を見たか?」になるのでしょうか 小中学校のブラスバンド部あたりは金管一色か
昨日,散歩がてら神保町に行ってコンサートのチケットを買いました 読響による東京芸術劇場リニューアルオープン記念演奏会です.池袋の東京芸術劇場は1990年のオープン以来21年が経過し昨年4月から全面改修工事に入っていましたが,9月1日にリニューアルオープンの運びになりました
9月1日(土)午後3時からの公演プログラムはマーラーの「交響曲第2番”復活”」です.演奏はソプラノ=小川里美,メゾソプラノ=清水華澄で,下野竜也指揮読売日本交響楽団,東京音楽大学合唱団です コンサートホールがリニューアルオープンというと必ずと言っても良いほどマーラーの”復活”が演奏されますね
閑話休題
米澤穂信著「追想五断章」(集英社文庫)を読み終わりました この作品は「小説すばる」2008年6月号から12月号まで,7回に亙って連載され,単行本として2009年8月に刊行されました
菅生芳光は大学を休学して伯父・菅生広一郎の古書店に居候していますが,ある日,北里可南子という女性から死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語(リドルストーリー)」を探してほしいと依頼されます 伯父に内緒で調査を進めますが,亡父・北里参吾が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことを突き止めます
「アントワープの銃声」事件とは,1970年,北里参吾の妻・斗満子がベルギーのアントワープのホテルで,首を吊った状態で発見され,泊り客が銃声を聞いていたことから,部屋にいた夫の参吾に殺人の疑いがかけられたというものです この小説が「ロス疑惑」にヒントを得て書かれたことは明らかです
菅生芳光は,参吾がこの事件に関して何かを訴えたかったために5つの物語を書いたのだと考えます.そして,古書店に努めているメリットを生かして取材をし,1篇ずつ物語を探し出していきます
最後の1篇はとうとう探し出せませんでしたが,依頼者である可南子が参吾の入院していた病院の看護師から入手します そこですべては明らかになります.最後まで読んで,あらためてこの小説の冒頭に掲げられた「わたしの夢」と題する(中学?)2年生の可南子の書いた文章を読むと,そこに回答が示されていたことに気がつきます
文庫本の帯に「語られぬ真実.秘められた想い」とありますが,一言でいうと,まさにそのような表現がぴったりとくる小説です 米澤穂信の小説はこのブログでも何回か取り上げてきましたが,どれも面白いと思います.この作品もお薦めします
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