6日(水)。昨日の日経朝刊第2面のコラム「迫真」は「文化インフラ決壊前夜2 箱を失うバレエ・オペラ」という見出しの記事でした 記事を超略すると以下の通りです
「東京文化会館は2026年5月から28年度までの休館を発表した 創立70年超の老舗・松山バレエ団は同会館が活動拠点であることから、その間公演を行う代替会場を探さなければならない 松山バレエ団にとって、こうした事態は初めてではない。傘下の松山バレエ学校が年2回の発表会を行ってきた新宿文化センターが23年に長期休館に入った際も、会場探しに追われた 舞台の広さと収益性のバランスがいい2千席の中規模ホールは、バレエやオペラ、クラシックコンサートなどの需要が高い しかし、横須賀芸術劇場(約1800席)、神奈川県民ホール(約2490席)と休館が相次ぐ グランドオペラジャパン代表理事・山口毅は『東京文化会館が休館する26年以降、首都圏のオペラ公演は3割減になるだろう』と予測する 代わりに新設ラッシュが続くのは1万人を超える規模のアリーナだ。都心部では有明アリーナ(江東区・22年)、Kアリーナ(横浜市・23年)などが次々にオープンした。神奈川県民ホールの総支配人・眞野純は『安泰なのはポップスの大箱公演くらい ホール利用率が80%超と高止まりしており、全公演に代替会場を割り当てるのは不可能だ。大掛かりな舞台装置や音響空間が必要なバレエ、オペラなどは、今後特に厳しい立場に置かれる』と予測する」
コンサート会場の休館については、何度かこのブログでも取り上げてきましたが、東京文化会館など3館を加えると以下の通りとなっています
①「東京芸術劇場」(池袋)は設備更新工事のため2024年9月30日から2025年7月末まで休館
②「東京オペラシティコンサートホール」は各種設備改修のため2026年1月1日から6月30日まで休館
③「ティアラこうとう(江東区公会堂)」は大規模改修工事のため2026年1月から2027年7月まで休館
④「東京文化会館」は大規模改修工事のため2026年5月7日から2028年度中まで休館
⑤「横須賀芸術劇場」は特定天井改修工事のため2024年7月から2026年8月頃まで休館
⑥「神奈川県民ホール」は2025年4月から休館(期間は未定)
(以上、各施設のホームページによる)
上記の各ホールのリニューアル工事日程を見る限り、上の記事にある通り2026年以降、オペラを中心に公演数の激減が予想されます 各施設同士で話し合って工事の時期をずらすとか調整できないものでしょうか
なお、「サントリーホール」は2022年4月4日から5月2日まで休館し、改修工事を済ませています また、「NHKホール」は2021年3月から22年6月まで休館し耐震工事・設備更新等を済ませています
ということで、わが家に来てから今日で3585日目を迎え、米大統領選は接戦のまま5日の投開票日を迎えたが、勝敗を左右する激戦7州は僅差で競っており、結果判明までに数日を要する可能性がある というニュースを見て感想を述べるモコタロです
この分だと 負けた方は容易に認めないだろうから 法廷闘争まで行くかもしれない
昨日の夕食は、前日の牛肉が余ったので「肉じゃが」でも作ろうかと思ったのですが、娘が外食だったので そのまま「焼き肉」にして「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」と一緒に食べました 究極の手抜き料理ですが、たまにはいいでしょう
西林克彦著「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」(光文社新書)を読み終わりました 西林克彦は1944年生まれ。愛媛県松山市出身。東京工業大学理工学部、東京大学大学院教育学研究科博士課程中退。現在、宮城教育大学教育学部教授。著書に「『わかる』のしくみ」「間違いだらけの学習論」などがある
著者は「はじめに」の中で「本書は文章をよりよく読むためにはどうすればよいのかを書いたものである 実は、よりよく読もうとする際に、私たち読み手にとって最大の障害になるのが、自分自身の『わかった』という状態である 本書ではそこからの脱出法の見当もつけていきたい」と述べています
この本は次の各章各項目から構成されています
第1章「『読み』が深まらないのはなぜか?」
①短い物語を読む
②「わからない」と「わかる」と「よりわかる」
③「わかったつもり」という困った状態
第2章「『読み』における文脈のはたらき」
①文脈がわからないと「わからない」
②文脈による意味の引き出し
③文脈の積極的活用
第3章「これが『わかったつもり』だ」
①「全体の雰囲気」という魔物(その1)
②「全体の雰囲気」という魔物(その2)
③「わかったつもり」の手強さ
第4章「さまざまな『わかったつもり』」
①「わかったつもり」の”犯人”たち
②文脈の魔力
③ステレオタイプのスキーマ
第5章「わかったつもり」の壊し方
①「わかったつもり」からの脱出
②解釈の自由と制約
③試験問題を解いてみる
④まとめ
著者は「第1章『読み』が深まらないのはなぜか?」の「①短い物語を読む」で、小学2年生の教科書「新しい国語」(東京書籍・平成元年度版)に収録された、くぼたかしの「もし もし お母さん」という物語(全5ページ)を読んで、後で「どんな物語だった」か反芻するよう求めます 内容は「いなくなった3匹の子猫のことを心配した母猫に、それぞれの子猫から電話があり、大丈夫そうなので安心した話」と集約される物語です ここで、著者は「わからない点はなかったか?」を問います 小学2年生の教科書ですから ひらがなが多く、わからない単語も、わからない文法も当然ありません ここで著者は「この物語をもっとわかりたいと思うか?」と問います 「それでは、お母さん猫は、どの子猫と、どんな話をしていたかを答えなさい」と問われると明確には答えられないのではないか、と述べます 書かれている内容から判断して、「それぞれの子猫はオスかメスか、どんな性格かなどを個別的に思い出す(個体識別)ことが出来るだろうか?」と問いかけます そして「なんとなくわかったつもりで先を読み飛ばしている」ことが多いのではないか、と指摘します 著者は「わかったつもり」の状態は放っておくと解釈のレヴェルは深化しないままであると述べます
第3章「これが『わかったつもり』だ」の中の「『全体の雰囲気』という魔物(その1・その2)」では、小学6年生の教科書「新しい国語」(東京書籍・平成8年度版)に収録された、長沢和俊の「正倉院とシルクロード」という文章(全7ページ)を読んで、あとで質問に答えるように求めます 著者はここでも、「わからない点はなかったか?」を問います 調査対象の大学生の8割が「とくにない」と答えたそうです。「正倉院が『世界の宝庫』と呼ばれているのはなぜだと思うか」との問いには「世界の品物が所蔵されているから」と回答した人たちが94%だったそうです。ところが、「正倉院に収められている宝物・品物の中でこの文章で具体的に挙げられていた宝物・品物のうち、シルクロードを通ってイランからやってきたものは何点ぐらいあったか」など個別具体的な質問には「半分前後」の回答が多かったそうですが、「実は1つしかなかったと正確に読んだ人」は88人中1人しかいなかった、といいます ほかの宝物・品物は文脈からすると「イランからやってきた確証はない」とのことです これは実際に上記の「国語」の文章を読んで、後で振り返ってみると分かりますが、正確に答えることは非常に困難です まさに「全体の雰囲気」から「イランからやってきたに違いない」と思い込んでしまった結果です
それでは、どうしたら良いのかを述べたのが「第5章『わかったつもり』の壊し方」です
著者は「まず、自分は『わかっている』と思っているけれど、『わかったつもり』の状態にあるのだ、と明確に認識しておくことが必要です」と述べます そして、より細かな文脈を駆使して「わかったつもり」に当たれば効果があること、どのようなときに「わかったつもり」になりやすいかを知っておくこと、「読み」を深める上で読み手の「想像・仮定」が欠かせないが、それには整合性という条件が存在することを理解しておくことが重要であると述べています
ちょっと分かりずらいかもしれませんが、実際に本書を読んでいただければ ある程度理解できると思います
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