映画「戦火の馬」，そしてフェルメール「真珠の耳飾りの少女」：マウリッツハイス美術館展を観る

2012年08月04日 06時55分49秒 | 日記

４日（土）．昨日は以前から行きたくて風邪のため行けなかった「マウリッツハイス美術館展」を観に行くため休暇を取りました　土日は混んでいると思われるので平日を狙ったわけです

１日たっぷり時間があるので，午前中は映画を観ることにしました　飯田橋のギンレイホールで上映中の「戦火の馬」がこの日最終日なので，これを観ることにしました．監督はスティーヴン・スピルバーグで２０１１年アメリカ映画です

舞台は第１次世界大戦前夜のイギリスです．農耕馬を買うために競りに出かけた貧しい農夫が，農耕馬ではない一頭の美しい仔馬を高値で競り落とします　その息子アルバートはその馬に”ジョーイ”と名付け調教します．ジョーイは貧しい一家のため農耕馬のごとく働き，石ころだらけの畑を蘇らせます　やがて戦争が始まるとジョーイは徴用され戦場に送られます　戦火に巻き込まれ数々の人の手に渡りながらも，ジョーイは奇跡的に生き延びます．戦争の中，ガスで目をやられたアルバートと，破傷風に罹って今にも撃ち殺されようとするジョーイとの再会は感動的です

アルバートの母親役は，どこかで観たことがあると思ったら，記者クラブの試写会で観た「オレンジと太陽」のヒロインを演じたエミリー・ワトソンでした．気丈でやさしい母親を見事に演じていました

の”ジョーイ”は演技力抜群でしたが，もう一人（？）光っていた脇役がいました．一家が飼っているアヒルです．地主が小作料を取り立てにくると追い出そうとしたりして，なかなかのやり手でした　アカデミー賞はムリでも小さなアカ・デミタス賞ぐらいは取れるのではないかと思います

スピルバーグというと古くは「スター・ウォーズ」に代表されるハイテクを駆使したスピード感に溢れる冒険ものを頭に思い浮かべるのですが，こういう，人間と動物との奇跡を描いた地味目の映画もなかなかいいと思いました

　　閑話休題　　

午後は地下鉄で上野に向かい東京都美術館に行きました．東京文化会館のすぐ外の柱にはフェルメールの”真珠の耳飾りの少女”の絵を配したマウリッツハイス美術館展のポスターが飾られていて，多くの人たちが同じ方向に向かって歩いています

東京都美術館に入るのは初めてです．すでに前売り入場券を持っているのでスムーズに入場口にたどり着きました　展示されているそれぞれの絵がどういう背景で書かれたのかとか，基礎知識がまったくないので，音声ガイドを借りることにしました．５００円を払ってチャンネルを５５に合わせました

この展覧会は「マウリッツハイス美術館の歴史」「風景画」「歴史画」「肖像画とトロ―二―」「静物画」「風俗画」の６章から構成されていて，その順序で観ていくようになっています　地下１階の展示ではルーベンスの「聖母被昇天（下絵）」が印象に残ります

続いてフェルメールの「ディアナとニンフたち」が光っています

指示に従ってエスカレーターで１階に上がると，そこはフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のコーナーです　部屋の奥にその少女の額が飾られていて，周りに人だかりが出来ていました　そこにたどり着くまで迷路のような回り道をしなければなりません．やっと，目の前に”少女”が現われたと思ったら，”歩きながら観てください”と係員の冷たい声　ほんの数秒，彼女と対面しただけでした　が，その目と唇は，観る者に何かを語りかけているように見えました