4日(水)。わが家に来てから今日で3613日目を迎え、トランプ次期米大統領は1日、中東担当の上級顧問にレバノン系米国人の実業家、マサド・ブーロス氏(トランプ氏の次女ティファニー氏の義父)を起用すると発表したが、トランプ氏は長女イバンカ氏の義父をフランス大使に指名したばかりで、要職への親族の起用が相次いでいる というニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプの政権の私物化は予想されていたこと 選んだ米国民は当然覚悟の上だろう
昨日は、娘が外食で私がコンサートだったので夕食作りはお休みしました
昨夜、サントリーホールで読売日響「第643回定期演奏会」を聴きました プログラムは①べリオ「シンフォニア」、②モーツアルト「レクイエム ニ短調 K.626」です 出演は、①のソリスト=ベルリンRIAS室内合唱団メンバー8名、②のソプラノ独唱 = ジョアン・ラン、メゾ・ソプラノ独唱 = オリヴィア・フェアミューレン、テノール独唱 = ニック・プリッチャード、バス独唱 = ドミニク・ヴェルナー、合唱 = ベルリンRIAS室内合唱団、指揮=鈴木優人です
オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対抗配置 下手にはピアノ、ハープ、チェンバロがスタンバイします。ベルリンRIAS室内合唱団のメンバー8名(男声4,女声4)がソリストとしてオケの手前に横並びで控えます
1曲目はべリオ「シンフォニア」です この曲はルチアーノ・べリオ(1925-2003)がニューヨーク・フィルの創立125周年を記念する委嘱作品として1968年に作曲し、同年10月にニューヨークで初演、翌69年に第5楽章を加え、同年10月にドナウエッシンゲンで初演されました
鈴木優人の指揮で演奏に入りますが、冒頭から最後まで、金管楽器を中心に大音響のカオスとでもいうべき音楽が展開します 8人のソリストたちはカオスのオケをバックに各自が全く違う台詞(?)やメロディーや嬌声を発します よく見ると彼らの前にはマイクが設置されており、PAで声を拡大していることが分かります 女声陣が時々小さな金属の棒を耳に当てながら歌ったり叫んだりしているのに気が付きました 音叉です。オケの大音響と別のソリストの嬌声などで混乱する中、自分の声の音程を正しく維持するために、時々音叉で確かめていたのだと思います 第3楽章と第4楽章では、マーラーの「交響曲第2番”復活”」の第3楽章や第4楽章の断片が引用されていて、音楽のコラージュが展開しました
ハッキリ言って「狂気の世界」です この曲を聴いて「作品の素晴らしさが分かった」という人がいたら、私はその人を信用しません 音楽評論家の澤谷夏樹氏は「プログラム・ノート」の中で、次のように書いています
「べリオは同時代の詞章を曲中に用いるが、意味をとるのが困難なところまでそれらを変形させるので、聴いても言葉の内容はほとんど解らない 作曲家自身は『テクストの理解度の変化、”完全には理解できない”という経験そのものが、作曲の一部となっている。この経験は作品の音楽的展開にとって不可欠である』とする」
この曲は私の理解を大きく超えていましたが、つまりべリオは「曲を聴いても解らないという経験をしてもらうことを意図して作曲したのだから、理解しなくてもいいですよ」と言っているのだろうか 考えれば考えるほどカオスです カオスとはいえ、楽譜通りに歌い、語り、叫んだソリストたちのパフォーマンスは素晴らしいものがありました 鈴木優人 ✕ 読響も、よくもこう複雑怪奇な作品を粛々と演奏できたものだと感心します 私にとって、この作品は「聴いた」というよりも「体験した」と表現する方が相応しいと思います
プログラム後半はモーツアルト「レクイエム ニ短調 K.626」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)がヴァルゼック=シュトウバハ伯爵の依頼により1791年10月に作曲に取りかかりましたが、12月5日に死去したため「ラクリモーザ」の途中までで未完に終わりました モーツアルトの弟子のフランツ・クサヴァ―・ジュスマイヤーにより完成されました。曲は次のように構成されています
1.イントロイトゥス(入祭唱):第1曲「レクイエム」
2.キリエ(憐みの讃歌):第2曲「キリエ」
3.セクエンツィア(続唱):第3曲「ディエス・イレ」、第4曲「トゥーバ・ミルム」、第5曲「レクス・トレメンデ」、第6曲「レコルダーレ」、第8曲「ラクリモーザ」と「アーメン」
※「アーメン」は1962年に発見されたスケッチをもとに鈴木優人が書きおろした短いフーガ。
4.オッフェルトリウム(奉献唱):第9曲「ドミネ・イエズ」、第10曲「ホスティアス」
5.サンクトゥス(感謝の讃歌):第11曲「サンクトゥス」
6.ベネディクトゥス(感謝の讃歌):第12曲「ベネディクトゥス」
7.アニュス・デイ(平和の讃歌):第13曲「アニュス・デイ」
8.コンムニオ(聖体拝領唱):第14曲「ルクス・エテルナ」
オケは12型に縮小します ベルリンRIAS室内合唱団33人がオケの後方に控え、ソリストの4人がステージ中央にスタンバイします
ソプラノ独唱のジョアン・ランは英国王立音楽大学でタゴール・ゴールドメダルを得て卒業 バッハ・コレギウム・ジャパンの常連ソプラノ歌手です
メゾ・ソプラノ独唱 のオリヴィア・フェアミューレンはベルリン芸術大学で学び、バイエルン放送主催の国際声楽コンクール優勝など受賞歴多数あるメゾ・ソプラノです
テノール独唱のニック・プリッチャードは1989年英クックフィールド生まれのテノールです
バス独唱のドミニク・ヴェルナーは1970年ドイツのグリューンシュタット生まれのバスです バッハ・コレギウム・ジャパンの常連歌手です
ベルリンRIAS室内合唱団は1948年にベルリンの米軍占領地区放送局(RIAS)のために設立されました 2017年からジャスティン・ドイルが首席指揮者と芸術監督を務めています
今回の演奏はジュスマイヤーの補筆完成版をもとに、もう一人の弟子アイブラーのオーケストレーションも採用した鈴木優人版により演奏されます
鈴木の指揮で演奏に入りますが、弦楽器はノン・ヴィブラートの古楽奏法で演奏します 私は数年前にバッハ・コレギウム・ジャパンの定期会員を辞めてしまったので、ソプラノのジョアン・ランを聴くのは本当に久しぶりです 相変わらず透明感のある美しい歌唱で、とくに高音が輝いています バスのドミニク・ヴェルナーも久しぶりに聴きましたが、低音の魅力が健在でした オリヴィア・フェアミューレンは初めて聴きましたが、深みのあるメゾ・ソプラノを聴かせてくれました ニック・プリッチャードも初めてですが、声がよく通るテノールです 特筆すべきはベルリンRIAS室内合唱団のコーラスです オケでは日下コンマスのオーバーアクションとも思えるほどの、身体全体を使ってリードする姿が印象的でした
ところで、鈴木優人版の顕著な特徴は「ラクリモーザ」の後に追加された「アーメン」に現れています 悲しみに満ちた「ラクリモーザ」が終わってすぐ後に、「アーメン」のフーガが高速テンポで演奏されるので、聴き慣れない耳には違和感があると思います 「アーメン・フーガ」付の「ラクリモーザ」は聴いたことがあると思って調べてみたら、テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナのCDでした
ところが、後で聴き直してみると、この日、鈴木版で聴いた「アーメン・フーガ」と曲想が全く違うのです クルレンツィス版は極めて穏やかな曲想で音楽が流れます 残されたのが「アーメン・フーガの”断片”」であることから、編曲者によって違いがでてくるのでしょうか
さて、サントリーホールは満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました
4人のソリストがコーラスに加わり、アンコールにモーツアルト「アヴェ・ヴェルム・コルプスK.618」が演奏され、再び大きな拍手が会場に響き渡る中、コンサートを閉じました
今日は東京都交響楽団「第1012回 定期演奏会 Bシリーズ」を聴きにサントリーホールに行きます 指揮者は大野氏降板に伴いロバート・トレヴィーノに変更になりましたね
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