人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アリス・紗良・オットのリスト「ピアノ協奏曲」,フランクフルト放送響のマーラー「第5交響曲」を聴く

2012年06月07日 06時59分43秒 | 日記

7日(木).昨日の朝日「天声人語」を見てました。

「去年、ニュートリノなる素粒子が光より速いと報告された。本当なら、光速を超す物質はないとしたアインシュタインの特殊相対性理論、すなわち現代物理学の土台を揺るがす。ひとしきり騒ぎになったが、先ごろ、結果は誤りだと分かった。スイスの加速器からイタリアの検出器へ素粒子を飛ばす実験は、問題点を修正して再び行うと光速は超えなかったという」

毎日、新聞2紙を購読しているのですが、このニュースは見逃してしまったようです やっぱりアインシュタインは偉大ですね 足が痛い時には、手をツネるとそっちの方が気になって足の痛さを感じなくなる・・・・・というのも”特殊相対性理論”でしたね。えっ、違う

 

  閑話休題  

 

 昨夕、地下の焼き鳥Rで、S監査役、E部長、T君、K君と飲みました 私を除く4人はテナントのO先生+女性スタッフと8時過ぎから飲む約束になっていて、それまでの時間つぶしに飲んでいる訳です。私は7時からサントリーホールでコンサートを聴くので45分だけ付き合いました。コンサートがなければ確実に最後まで付き合っていましたね もし彼らが誘惑に負けて六本木のスナックOに移って歌合戦に突入したらデス・マッチになっているでしょう。オラ、知らね

 

          

   も一度閑話休題  

 

サントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団のコンサートを聴きました 曲目は①リスト「ピアノ協奏曲第1番変ホ長調」(ピアノ独奏:アリス=紗良・オット),②マーラー「交響曲第5番嬰ハ短調」の2曲です

 

          

 

会場はほぼ9割方埋まっています.自席は1階7列14番.いつもは同じ1階でも中央より後方の席を選ぶのですが,今回はリストを弾くアリス・紗良・オットを近くで見たかったのでかなり前の席を取りました正面よりやや左サイドで,彼女の指使いやぺダリングが良く見える席です

オーケストラのメンバーが聴衆の拍手に迎えられて登場します 普通のオーケストラはコンサートマスターが後から登場しますが,このオケは真っ先に出てきて,でんと座ります.意欲を感じます オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバスという編成です

チューニングが終わって,指揮者のヤルヴィがソリストのアリスを伴って登場します.アリスは鮮やかなブルーのドレスに身を包み,”予想どうり”素足で軽やかにピアノに向かいます 昨年1月6日に東京交響楽団の定期演奏会で,同じリストのピアノ協奏曲第1番を弾いたのですが,その時初めて彼女が素足でピアノを弾いているのを”発見”して驚きました その翌週の1月12日に開かれた彼女のピアノ・リサイタルの時も素足でした.夏ならまだしも,真冬のさなかに素足というのは相当意志を強く持たないと実力を発揮できないのではないか,と思ったものです 実際には,そんな心配をものともしない素晴らしい演奏を展開しました

今回のリストの第1番の協奏曲も,期待を裏切らない素晴らしい演奏で,リストが生きていたら拍手喝采を送ったにちがいありません 特に最終楽章のフィナーレは圧巻でした 拍手とブラボーで何度も呼び戻され,アンコールを演奏しました.リストの「ラ・カンパネッラ」.指使いを見ていると相当演奏困難な曲であることが分かります まさに超絶技巧曲です.彼女は詩情豊かに”鐘の音”を弾き切りました.それでも鳴り止まない拍手にブラームスの「ワルツ第3番」をやさしく弾きました 演奏が終わると小走りで袖に引き上げていきました.これが彼女の一つの特徴です

2曲目のマーラー「交響曲第5番」は,フル・オーケストラでスタンバイします 左サイドにいたフルート奏者が,舞台の袖の方を見ながらVサインをして何やら口パクでサインを送っています.どうやら「演奏者が2人まだ席に来ていない」と言っているらしいのです チューニングが終わったころに,反対側の右サイドから2人の木管奏者が登場しやっと全員が揃いました

ヤルヴィの合図で,第1楽章冒頭のトランペットの独奏が会場に鳴り響きます 豊かな音色です.メンデルスゾーンの「結婚行進曲」をもじった「葬送行進曲」です.マーラーは皮肉屋の面があります 全体を見渡すと,日本人らしき演奏者がちらほらと見られます.わが国のオケと比べ,音量が違うと思います 第2楽章などは,オーケストラの音が床を伝わって客席まで届き,椅子が振動しているのが分かります.「そうか,前の方の席で聴いている人たちは,こういう振動を身体に感じながら音楽を聴いているのか」と感心しました.私の場合は,音楽の全体像を把握したいので,オーケストラが端から端まで見渡せて,音が混じり合って聴くことが出来る後方の席で聴くのと常としています

第3楽章の開始にあたって,首席ホルン奏者が左サイドから右サイドに横断していきます.この楽章は”ホルン協奏曲”のような性格を持っているので,ソロを吹く奏者だけ反対側に移って,音が消されないようにしたのだと思います 舞台袖のテレビカメラを意識していたので,スタンド・プレイではないか,と思いましたが,なるほど彼は立って演奏していました.文字通り「スタンド・プレイ」です とは言うものの演奏は素晴らしいものがありました

第4楽章「アダージェット」はヴィスコンティの映画「ベニスに死す」であまりにも有名ですが,ハープに乗ってロマンティシズムに溢れた美しいメロディーが流れます.カタルシスの世界です

最後の第5楽章はフル・オーケストラによって圧倒的な迫力でフィナーレに突入します.管楽器奏者の一人一人が優れた技術を持っていると思いました

ヤルヴィのタクトが上がり,曲が終わると,割れんばかりの拍手とブラボーが会場を満たしました 4度目に呼び戻されたヤルヴィはアンコールにブラームスのハンガリー舞曲第5番を選びました ドイツのオーケストラによるドイツの作曲家の曲の演奏です.この曲は,彼らの身体に沁みついているかのように,指揮者のタクトにぴったりついていきます

それでも鳴り止まない拍手に応えて2曲目のアンコールに同じハンガリー舞曲第6番を演奏しました極端にゆっくりなテンポから徐々にスピードを上げていき一気に爆発させる演奏に,聴衆は酔いしれました

久しぶりに精神が解放されるようなコンサートを体験することができました 今日は同じフランクフルト放送交響楽団で,ヒラリー・ハーンによるメン・コンと,ブルックナーの第8交響曲を聴きに行きます

 

          

 

 

   さらに閑話休題  

 

サントリーホールの入り口近くで配られていたコンサートのチラシがあまりにも重いので,家に帰ってから数えてみたら,厚さ1.5センチで110枚ありました そのうち109枚を捨てて下の1枚だけ残しました.毎回こんな割合ですが,これは”買い”です

 

          

 

この日もサイン会がありましたが,私は昨年のリサイタルの時にショパンのCDにサインをもらったので,今回は長蛇の列に並ぶのはやめることにしました

 

          

 

          

          

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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日本語 (なかた)
2012-06-07 08:43:11
動画で彼女のインタビューを見ましたが、日本語にまったく問題がありませんね。
本人とお母様の努力の賜物でしょうが、こちらの能力もすごいです。
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国境を超える (tora)
2012-06-07 15:56:46
なかたさん、音楽が国境を超える実力者は言葉も国境を超えますね
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