12月1日、講演会を聞いた。
タイトルは「文学は何のためにあるか」
まず、育った環境の話があった。
お父様が理系、その影響か数学も嫌いじゃない。
でも、小説は好きだった。本をむさぼり読んだ。
そのころの父親の位置は今と違って、食事が一品多かった。
多くてもそれが当たり前で、不思議とも思わなかった。
つまり、父親の権威があった。
その父親が高校一年の時に亡くなった。
それまで、言ってみればいいところのぼんぼんだったが、
貧乏になるのは簡単だった。
間もなく母親も亡くなり、
20歳前に自活しなければならない状態になった。
もちろん学費も生活費も自分で工面した。
大学を受験する時、早稲田の仏文と東工大の応用化学を受けた。
高校の先生が、おまえはどういうつもりだと、あきれたとのことだったが
仏文は新聞記者のパリ特派員にあこがれ、
応用化学はそのころはやりだった。
たまたま東工大の受験に失敗したから
仏文に行ったが、応用化学に行っていたら
公害垂れ流す化学工場の工場長くらいになって
土下座して謝っていたかもしれない、等々。
話の持っていき方が面白い。
しかし、学生時代肺結核にかかり、療養生活をおくる。
新聞記者にあこがれていたが、病後の身では
激務に耐えられないと、国会図書館に就職。
そこで11年過ごす。
国会図書館というところは、上級職で入ったものの
将棋でいえばすっと「歩」のようなところで
出版社の友人を介したアルバイトで雑文を書くようになった。
雑文の収入が本来の賃金を越したあたりで、
書いて生きていくという考えに至った。
しかし、小説家になるというには
そういう血が流れていないとダメと考えていた。
芸術家(絵描きや音楽家)になる血は
父親等をみても、エンジニアばかりで
自分には流れていないと思っていた。
しかし、直木賞を受賞したとき、
一応、小説家としての鑑札をもらったように感じたそうな。
ここから話は「何のために小説はあるのか」に入っていく。
今回は、いくつかの箴言をひいて、考えたとのこと。
・毛沢東曰く「革命に役立つのがいい文学」
(文芸講話のなかで10ページにわたって書いているそうだ)
・ある人がいったのには「面白い話を語るのが小説です」
・伊藤整 「社会全体がよしとするものに、
個として意を唱えるのが小説(例、結婚制度)」
・小なる説である。大説は天下国家を論ずる、書かれたもの。
物語りの「語り」は正式でないものの意も。
Novelは新しいもの、いかがわしいもの
ロマン語(ラテン語)で書かれたものに対して。
・男と女を書くものです(山口瞳)
・ある集団の問題を扱っている
貧富の差、核開発等々
・美しい正しい文章を語るもの
文学は日本語の模範を示す等、良さを伝える役目もある
・成長小説
ジャンバルジャンのように、人の一生を書くことにより
「ああ、ここに人生が書いてある」と感慨を持つ
小説を考えると、そういうものかが見えてくる。
情報について
自分が書くときは、情報の根拠を調べる。
平凡社の百科事典で調べていれば、それは平凡社にきいてくださいといえるが
最近のネット上の情報は、責任のない話だ。
情報の価値を薄くしている。
事件が起きたとき、考えるのは
その犯人は、なぜこういう行動に至ったのかということ
人格が形成される15~6歳までに
どんな環境ですごしてきたか、そこを考える。
最近、本が売れない
売れているのは、村上春樹、宮部みゆき、東野圭吾くらいなもので
みなさん、どうぞ本を買ってください
朗読について
歳をとってくると、目からよりも、耳で味わうというのが
よくなってくる。
自分も、それから奥様も朗読の活動をやっている。これはいいですよ。
本当は、もっとディスクが、安く手に入るようになるといい。
売れれば安くできるのだが。
温厚で、人の気をそらさない語り口で、楽しいお話でした。
講演でしたが、小説についてでしたので、ジャンルは本に入れておきました。
阿刀田高さんの講演! クリック!
おかはんをよろしく、ブログもあります!
タイトルは「文学は何のためにあるか」
まず、育った環境の話があった。
お父様が理系、その影響か数学も嫌いじゃない。
でも、小説は好きだった。本をむさぼり読んだ。
そのころの父親の位置は今と違って、食事が一品多かった。
多くてもそれが当たり前で、不思議とも思わなかった。
つまり、父親の権威があった。
その父親が高校一年の時に亡くなった。
それまで、言ってみればいいところのぼんぼんだったが、
貧乏になるのは簡単だった。
間もなく母親も亡くなり、
20歳前に自活しなければならない状態になった。
もちろん学費も生活費も自分で工面した。
大学を受験する時、早稲田の仏文と東工大の応用化学を受けた。
高校の先生が、おまえはどういうつもりだと、あきれたとのことだったが
仏文は新聞記者のパリ特派員にあこがれ、
応用化学はそのころはやりだった。
たまたま東工大の受験に失敗したから
仏文に行ったが、応用化学に行っていたら
公害垂れ流す化学工場の工場長くらいになって
土下座して謝っていたかもしれない、等々。
話の持っていき方が面白い。
しかし、学生時代肺結核にかかり、療養生活をおくる。
新聞記者にあこがれていたが、病後の身では
激務に耐えられないと、国会図書館に就職。
そこで11年過ごす。
国会図書館というところは、上級職で入ったものの
将棋でいえばすっと「歩」のようなところで
出版社の友人を介したアルバイトで雑文を書くようになった。
雑文の収入が本来の賃金を越したあたりで、
書いて生きていくという考えに至った。
しかし、小説家になるというには
そういう血が流れていないとダメと考えていた。
芸術家(絵描きや音楽家)になる血は
父親等をみても、エンジニアばかりで
自分には流れていないと思っていた。
しかし、直木賞を受賞したとき、
一応、小説家としての鑑札をもらったように感じたそうな。
ここから話は「何のために小説はあるのか」に入っていく。
今回は、いくつかの箴言をひいて、考えたとのこと。
・毛沢東曰く「革命に役立つのがいい文学」
(文芸講話のなかで10ページにわたって書いているそうだ)
・ある人がいったのには「面白い話を語るのが小説です」
・伊藤整 「社会全体がよしとするものに、
個として意を唱えるのが小説(例、結婚制度)」
・小なる説である。大説は天下国家を論ずる、書かれたもの。
物語りの「語り」は正式でないものの意も。
Novelは新しいもの、いかがわしいもの
ロマン語(ラテン語)で書かれたものに対して。
・男と女を書くものです(山口瞳)
・ある集団の問題を扱っている
貧富の差、核開発等々
・美しい正しい文章を語るもの
文学は日本語の模範を示す等、良さを伝える役目もある
・成長小説
ジャンバルジャンのように、人の一生を書くことにより
「ああ、ここに人生が書いてある」と感慨を持つ
小説を考えると、そういうものかが見えてくる。
情報について
自分が書くときは、情報の根拠を調べる。
平凡社の百科事典で調べていれば、それは平凡社にきいてくださいといえるが
最近のネット上の情報は、責任のない話だ。
情報の価値を薄くしている。
事件が起きたとき、考えるのは
その犯人は、なぜこういう行動に至ったのかということ
人格が形成される15~6歳までに
どんな環境ですごしてきたか、そこを考える。
最近、本が売れない
売れているのは、村上春樹、宮部みゆき、東野圭吾くらいなもので
みなさん、どうぞ本を買ってください
朗読について
歳をとってくると、目からよりも、耳で味わうというのが
よくなってくる。
自分も、それから奥様も朗読の活動をやっている。これはいいですよ。
本当は、もっとディスクが、安く手に入るようになるといい。
売れれば安くできるのだが。
温厚で、人の気をそらさない語り口で、楽しいお話でした。
講演でしたが、小説についてでしたので、ジャンルは本に入れておきました。
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