シルバー仮面の最終回から40年

 今から40年前の昨日72年5月21日に最終回を迎えたのがシルバー仮面で
ある。


 最終回は地球との友好を結ぶためにやって来たアンドロメダ星人・ドリィが
ワイリー星人に殺され、遺された赤子であるリンを故郷に返すために完成した
光子ロケット・ベム5号でアンドロメダに向けて旅立って終わる快獣ブースカ的
な終わり方である。


 思えばシルバー仮面はウルトラマンでは描ききれなかった人間ドラマとの
有機的なつながりを重視しリアルな世界観を描くのが目的で、視聴者の対象
年齢もウルトラよりも上の世代を意識して作られたため あえて等身大にして
いた。


 とはいえリアル感を強調したため等身大で暗躍する宇宙人やストーリーの
重苦しさが目立ち、シルバー仮面も光線技を使わないにも拘らずシルバー
キックなどの格闘技もライダーキックのような鮮やかさもないためカタルシスも
感じられず裏番組がミラーマンだった事もあり視聴率的に苦戦を強いられる。


 そこで11話から唐突に完成した光子ロケットのテスト飛行で出くわしたサザン
星人の襲撃でエンジンから漏れ出した光子エネルギーの影響を受けて巨大化
し、番組タイトルもシルバー仮面ジャイアントになってしまう。


 これまで多くのヒーロー番組が作られてきたが番組の途中の路線変更で巨大
化するようになった作品は私の知る限りではこの作品のみ。


 こうして巨大化したと同時に光線技などを駆使して侵略巨大宇宙人と戦うスタ
イルに変更されてしまったわけで、番組制作当初にスタッフが狙った人間ドラマを
前面に押し出して正義の目的を持ちながら世間から理解されず、冷たく迫害され
ながらも、父の遺した光子ロケットの完成を夢見て各地を放浪する春日5兄妹の
葛藤といったコンセプトが置き去りにされた感は拭えない。


 巨大化も結果的に裏番組だったミラーマンの視聴率を20%切りに追い込む
健闘はできたものの逆転どころか肉薄する事も敵わずに半年で
終わってしまった
のだが、特に等身大編は何度か見ていると決して悪い作品ではなかったという
パターンだろう。


 こういった作品の場合は繰り返し見ていると面白さが分かってくるのだが残念
ながらリアルタイムでのOAで視聴率が低かったためか
再放送すら あまりなく、
評価を覆せないままになってしまった不運な作品だったと思う。

 

コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
あの『仮面ライダー』でさえ (柴田真紀)
2012-05-23 00:45:16
「巨大化」案があったそうですから、『シルバー仮面』は、まさにそのままいっちゃったんでしょうね。

 でも、シルバーの残した
☆人間ドラマに重点を置いたストーリー
☆あまり強くない巨大ヒーロー
☆一般人には受け入れてもらえない主人公
☆その孤独な戦い
 などの設定は、そのまま『アイアンキング』に継承されているので、あながち『シルバー』の敗北(?)も、ムダではなかったと思います。
 
 
 
たしかに (こーじ)
2012-05-23 23:58:30
>柴田真紀様
 たしかに礎を築いた事は確実でしょう。

 ところで記された4つの要素はネクサス姫矢編にも通じるものがありますね。
 
 
 
おおおおお!? (柴田真紀)
2012-05-24 01:36:15
今、こーじさんに指摘されるまで、『ネクサス・姫矢編』のことなど、すっかり忘れていました~。

そうか、設定が似ていて、
演じていた役者がタイプだったので、
ハマったんだな~
 と、自分で合点がいきました。

ありがとうございました。
 
 
 
いえいえ (こーじ)
2012-05-24 23:51:19
>柴田真紀様
 やはりネクサス姫矢編はシルバー仮面であり、カメラマンというところがミラーマンでもありますからね。

 ネクサス姫矢編がなければ我々が知り合う事もなかったのですから。
 
 
 
中国の映画で復活 (アミーゴ今野)
2012-06-03 20:11:30
アイアンキング、レッドバロンと共に登場します。日本に逆輸入してこないかな。マッハバロンとガンバロンも登場してもらいたいですね。僕のブログはヤフーに変更しました。是非投稿お願いします。http://blogs.yahoo.co.jp/amigohabitmusic/MYBLOG/yblog.html
 
 
 
中国だと・・・ (こーじ)
2012-06-03 23:13:28
>アミーゴ今野様
 復活するのは嬉しいですけど、中国でだと盗作っぽくて嫌ですね。

 ブログ閲覧しましたよ。
 リメイクという言葉を知らない人がいるのですね。
 
 
 
時代に早過ぎた傑作 (無限堂野次馬本舗)
2017-11-16 23:00:03
本作品は名作ウルトラセブン以上のハードなストーリーを目指し「力」ではなく「結果」として問題を解決するのが斬新でしたが、如何せんその下地が出来ていなかったのと、裏番組がミラーマンだった為苦戦を強いられ、泣く泣く巨大ヒーローへ路線変更を余儀なくされた稀有な作品でした。
また、シルバー仮面路線変更の遠因となったのも、春日はるか役だった松尾ジーナさんの病気療養による降板で、この辺は仮面ライダー序盤の本郷猛役の藤岡弘さんのバイク事故による休場と、7年後のまんがはじめて物語でうつみ宮土理さんの病気療養による降板で、岡(現・五十嵐)まゆみさんへ交替した時の事を思い出しました。
当初から半年で終わる予定だったシルバー仮面も第1話のチグリス星人の着ぐるみ火災で使用不可能になったアクシデントによる開始延期に始まり、はるか役の松尾ジーナさんの病気療養降板、巨大ヒーローへの路線変更とかなり不遇の作品でしたが、キチンと終わったのが不幸中の幸いで、本当に最後まで等身大ヒーローで通して欲しかった一方、シルバー仮面のコンセプトは6年後のサンライズ製作アニメ・無敵超人ザンボット3にも継承され、富野巨匠は何処かしらシルバー仮面の影響を受けていたのかも知れず、地球を守る為に戦っているのに民衆から誤解され迫害され、時の権力者等から理解され、自らの全滅を予期し神ファミリーが所持する兵器の設計図を国連に提供し、量産準備をしたり、最終的には迫害された民衆から感謝される結末でした。
昨今の商業主義に汚染された子供番組にこの様な作品群が作れないのは切ない一方、既に戦後生まれの世代が老境に入りつつある為、難しいと実感します。
 
 
 
私も等身大編の方が (こーじ)
2017-11-17 22:28:02
>無限堂野次馬本舗様

 私も等身大編の方が好きな方でしたから、巨大化してからはガッカリしたクチです。

 基本的に名作といわれる作品は宇宙戦艦ヤマトのように意外に最初に低評価だったりしますし、私が好きなウルトラマンネクサスも然り。

 3年前にOAされたジェネレーション天国でもテリー伊藤氏が墓場で卒塔婆を使って殴り合いしたり、街中のゲリラ撮影もシルバー仮面の影響を受けたと語っているので次世代に影響は与えていると思いましたよ。

 それにしてもシルバー仮面は最初からトラブル続きだったのですね。

 
 
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