村田諒太 1―2判定負けで世界戴冠ならず ダウン奪うもエンダムに苦杯
今日 東京有明コロシアムで行われたWBAミドル級王座決定戦で
ロンドン五輪金メダリストで2位の村田諒太は1位のアッサン・エ
ンダムと対戦し、4Rにダウンを奪うなど中盤から試合を支配した
かに思えたが1-2の判定で惜しくも敗れ世界タイトル奪取はなら
なかった。
試合はエンダムが動きながらジャブをはじめとした軽打を打ち
村田がガードを固めて前進しプレッシャーをかけて強打を打ち込
むという予想通りの展開で始まり、ラウンドを重なるに連れて徐
々に手数を増やしていった村田は4Rに右のカウンターをヒットし
ダウンを奪う。
これでペースを掴んだ村田は以後も再三強打を単発ながらヒット
して追い回したのに対し、エンダムは足を使いながら動き回りつつ
軽打の連打で反撃したもののダメージからいけば村田という形で
終了ゴングを聞いた。
とりあえず3Rまでは手数の差でエンダムとは思ったが4Rのダウン
以降は村田がペースを握っており後半のラウンドを2つばかり落と
したとしても115―112あたりで村田だろうとは思っていたのだが、
最初のパナマ人ジャッジ:グスタボ・バティージャが116ー111で
エンダムとしたところから不穏な雰囲気になり2人目のアメリカ人
ジャッジのラウル・カイズが117-110で村田としたまではよかっ
たが3人目のカナダ人ジャッジ:ヒューバート・アールが115-112
と聞いた時点で‘村田か’と思ったらエンダムだった。
最近のボクシングはラウンドマストシステムでイーブンのラウン
ドでも必ず差を付ける事から‘有効打と手数’というのはジャッジ
の好みになるし、永遠の課題ではあるものの今回のパナマ人とカナ
ダ人ジャッジが手数を取ったという事になる。
正直言って村田が負ける場合はエンダムのスピードとジャブに翻
弄され強打を空転させられるケースと思っていたが、3Rぐらいから
右をヒットさせ4Rにダウンを奪うと以後もフルラウンドにわたって
パンチをヒットさせフラつかせるなど予想以上のポテンシャルを発
揮した。
惜しむなくは強打を打つあまり手数が少ないという事で、こうい
うスタイルはジャッジ構成によって明暗が分かれるため今後の課題
としては せめてジャブを多めに出しジャッジにアピールする姿勢
が必要だろう。
そういう意味ではエンダムの老獪さにポイントを掠め取られた形
ではあるものの、持ち味の‘強さ’は証明されたので今後の伸びし
ろに期待したいし十分世界に届くと実感した敗戦だった。