アレクシス・アルゲリョを初めて見た日

 今から40年前の今日75年10月12日に蔵前国技館でWBAフェザー級
タイトルマッチで2位のロイヤル小林が王者のアレクシス・アルゲ
リョに5RKO負けしタイトル奪取に失敗した。

 当時のアルゲリョはバンタム級の名王者だったルーベン・オリバ
レスを激戦の末にKOしてタイトルを奪取したというのが売りで、
177㎝とフェザー級史上最も身長が高いというのが印象深い王者
だった。

 一方で小林はミュンヘン五輪ベスト8という実績を引っさげて
プロ入りし‘KO仕掛け人’と呼ばれる強打で、オリバレスに敗れ
た歌川善介ら国内のライバルを倒しまくるなど総なめにして挑戦
権を掴んでいた。

 来日してからの練習でアルゲリョ株が一気に上がり小林不利と
いう予想はあったものの‘小林の強打が一発でも炸裂すれば’と
いうファンの思いを込めた挑戦で、当時の日本は輪島功一と柴田
国明ら4人が王座陥落し10月に入っても花形がサラバリアとの
再戦で敗れ沼田久美もマルティネスの強打を恐れて動き回るだけ
という惨状が目立っていただけに小林への期待は高まっていた。

 試合は1Rから177cmの長身を生かしたアルゲリョが的確な左で
小林を突き放し右の打ち下ろしから左を返す見事なコンビネーショ
ンを見せて圧倒し、2Rには早くも鼻血を出させ3Rで既に顔面を
腫れ上がらせる展開。

 それでも4Rの終盤に意を決してプレッシャーを強めた小林の
左フックが当たりアルゲリョを追い詰めるものの、巧妙なクリン
チで寸断されると5Rの中盤に右の打ち下ろしからの左アッパーを
ボディに決められてダウン。

 何とか立ち上がったが再びボディブローで悶絶するKO負けを
喫したのだった。

 当時ジャブは距離を測るものというイメージがあったのだがアル
ゲリョのジャブは小林をして‘氷の塊で殴られた’というダメージ
ングブローだったので驚いたのを覚えている。

 敗れた小林は1年後 同じ蔵前国技館でJフェザー級に落して8R
KO勝ちし世界王者になるのだが、1年前にあれほど弱く見えた小林が
こんなに強いのかと思わせたのもアルゲリョの強さゆえだった。

 その後アルゲリョは体重苦のため4度の防衛後にタイトルを返上
すると78年1月に10度の防衛に成功していたアルフレッド・エス
カレラに13RTKO勝ちしJライト級でも王者になり、8度防衛後
ジム・ワットに判定勝ちしてライト級まで奪取する3階級制覇を
達成したのだ。

 こういう歴史に残るスーパースターのアルゲリョやウィルフレド・
ゴメスが日本で試合をするというのは今では考えられないが‘強打を
誇るロイヤル小林ならばひょっとしたら’という形で挑戦できたし、
その結果 敗れはしたものの凄い選手を見られた事になるのでロイヤル
小林には感謝したい。

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