王座剥奪の比嘉大吾、試合後病院直行…入院していた
一昨日はWBAミドル級王者の村田亮太は8RTKO勝ちで初防
衛に成功したのに対し、WBCフライ級王者の比嘉大吾は計量を
パスできずにリングに上がる前にタイトルを失うという失態を演
じて明暗が分かれた。
ただ体重オーバーの計量失敗は最近の世界では珍しくなく昨年は
日本でも2件、今年に入っても早くも比嘉で2件目という事態で日
本でも国内の試合で体重オーバーが目立ち始めていた。
20世紀までは計量は当日だったので計量パスの後に飲み食いして
もリバウンド幅は小さかったのだが、最近は選手の健康を考慮して
前日計量になっているのでリバウンド幅も大きくなり‘同じ階級か’
というぐらい体格に差がある試合は珍しくない。
減量方法ではギリギリまで食べて体調を維持し試合の数日前から
ガクンと落とす方式と、1日に少しづつ落としていくジワジワ型が
あり日本ではジワジワ型が推奨されていた。
80年1月3日に番狂わせでWBC:Jフライ級王者になった中島
成雄は10㌔以上もの減量をしなければならなかったのだが、11月
に行なったテスト減量でガクンと落とし半病人のようになったので
1ヶ月かけて落とすジワジワ型に変更しベストコンディションを作
れたというのが好例だ。
ところがジワジワ型でやると当然胃袋が小さくなるので計量パス
後の食事でもリバウンド幅が小さくなり不利になるという事で、最
近では外国人選手を中心にガクン型が増え日本人選手も真似をする
ケースが増えてきたのだ。
ただし このやり方は水分抜きなどもするので脱水症状などの健康
障害を起こしやすいだけでなく、今回の比嘉のように再計量でも無
理になるため体重オーバーがのリスクも高くなる。
とはいえ相手よりもリバウンド幅が大きい方が当然ながら有利に
なるためガクン型を選ぶ選手は後を絶たないだろうから、当日計量
に戻すかIBFのようにリバウンド幅の制限などの対策が必要になる
のは間違いない。
それにしても柔道が技による一本勝ちを増やすために効果や有効
を廃止し指導3つで反則負けというルールを作ったら技による一本
よりも指導狙いの試合展開が横行し始めたわけだが、ボクシングも
選手の健康管理を考えて前日計量にしたばかりに体重オーバーとい
う不祥事が頻発するなど皮肉な話だとつくづく思う。