ロンドン五輪ボクシングのミドル級で金メダルを獲得した村田諒太がプロ入りの
意向という記事が今月の初めからメディアを賑わせていた。
村田は五輪終了後プロ入りに対して消極的な姿勢を見せていたのが一転して
プロ入りに傾いたのはアマチュアボクシングのプロ化という話が原因の1つだと
言われている。
先日レスリングが五輪種目から外れる候補になったのを考えるとアマチュアボク
シングも対岸の火事とは思えないものがあり、削除候補にならないように先手を
打ってプロ化を宣言したのかもしれない。
アマチュアボクシングのプロ化というのは意外な話ではあるが、果たして成功
するのか大いに疑問符が付く。
というのもアマチュアボクシングとプロボクシングは似て非なる競技で、一時期
プロで無敵を誇ったマイク・タイソンですら五輪予選で敗れてアメリカ代表になれ
なかったのが いい例なので、現在のスーパースターであるノニト・ドネアやフロ
イド・メイウェザーなど1試合に つき億単位の金を稼ぐ選手が僅かばかりの報奨
金のために五輪に出場するとは思えないのだ。
当然ながらプロの統括団体であるWBCやIBFなども協力しない姿勢を打ち出し
ているので日本のプロボクサー達も同調するだろう。
結局アマチュアボクシングのプロ化とは既存のアマボクサーがスポンサーを
付けて試合に出る事になるから従来の内容と変わらない可能性が高い。
ただしアマチュアの文言が削除された事によって世界のアマチュアボクサー
達がフルタイムでボクシングに専念できるようにはなるので、世界のレベルは
一気に上がるのではないか。
となると そういう方面には未だにアマチュアへの未練を残す性格がある日本の
アマチュアボクシングにとって、せっかく村田が金を清水聡が銅メダルをロンドン
五輪で獲得し世界の背中がおぼろげながら見えてきたように感じたのが再び引き
離される可能性は高い。
プロとの協調路線を取って結果を残した山根体制が村田のプロ転向を機に再び
プロアマ断絶などという愚挙を犯さないことを祈りたい。