神田隆は悪役俳優なれど

　私が最初に見た仮面ライダーの6話&7話・死神カメレオン編にゲストで登場
したのが神田隆。
　第2次世界大戦末期にナチスの財宝が日本海軍の潜水艦で極秘裏に日本に
運び込まれていて、その運搬を指揮した砂田艦長をショッカーは拉致して財宝
の ありかを問いただすという展開だった。

　その砂田艦長を演じたのが神田隆だ。

　神田隆といえば時代劇での悪役が多く大魔神怒るでは平和な国・八雲に攻め
入って不戦を貫く領主を殺害し武人像を破壊した御子柴弾正役が印象深いし、
水戸黄門などでも悪代官で度々見かけていた。

　けっこう体格がいいので貫禄があり強面という事もあって私腹を肥やす悪代官
といったボス役が似合っていたし、今となっては金田龍之介あたりと並ぶ貴重な
悪役だった。

　もっとも円谷作品ではマイティジャックで月ロケット開発の中心人物になって
いるし、怪奇大作戦ではSRIの的矢忠所長の親友で平田昭彦演じる社長から
コンピューターで付け狙われる伊藤大助役が印象深い。

　またミラーマンでは田宮教授を演じているし、ウルトラマンレオではMACの
高倉司令官役が有名だ。

　高倉司令官といえばウルトラマンエースに登場した山形勲演じる同名のTAC
の司令官を思い出すが、コチラは歴代の上官の中でも自らのメンツを守るために
北斗星司を犠牲にしてもかまわないという考えの持ち主で竜隊長から殴られる
など歴代の上官の中でも最悪のキャラだった。

　神田隆は山形勲同様に悪役上がりだから同じようなキャラか？と思ったのだが
意外にも誠実で見識も高い人物で、ババルウ星人編でウルトラの星が地球に
接近した際には破壊を決断するものの基本的にモロボシ・ダン隊長に全幅の
信頼を置いている上官だった。

　考えてみればウルトラマンのムラマツキャップや、仮面ライダーの立花藤兵衛
を演じた小林昭二も時代劇などでは悪役を演じていた。
　悪役と善玉の両方を演じられる演技力を持った役者だったという事だろう。