オーバーワークは非難されるべきもので、称賛するに非ず

 21世紀に入って日本のスポーツ界もコーチングの進化が見られ、
昭和の時代とは比べ物にならないぐらいレベルアップしている。

 野球でいえば以前は高校生が140㌔台のストレートを投げると
豪腕などと言われていたのが今や150㌔は出さないと速球派とは
言われないのが実情で、それを受けて打者のレベルも上がるなど
長足の進歩を遂げているのは心強い限りだが1つだけ遅れている
のはオーバーワーク症候群ではないか。

 日本ではスポーツが精神修行の一環としてスタートした歴史が
ある事から壊れる寸前まで自己鍛錬を重ね‘これだけやったのだ
から負けるはずがない'と心の支えにして臨むというのが多々ある。

 確かに1年に負けたら終わりの真剣勝負の全国大会が2度という
高校野球などではそれでいいかもしれないが、多くの試合をこなす
プロとしては壊れる寸前まで鍛えて試合に臨むというスタイルは
現実的ではない。

 つまり試合を重ねながらレベルアップさせるというスタイルが欧
米では主流で、ボビー・バレンタインら外国人監督は試合前でも猛
練習する選手達に‘練習に使うエネルギーがあるなら試合で使え’
という考えで広岡達郎や一部の選手達と対立していた。

 個人的には猛練習自体は必要だがケガ持ちやベテランの場合は
壊れる寸前まで追い込む練習というのは逆効果だし、それが原因
でケガなどを更に悪化させるリスクの方が高いのだが不思議と
マスコミは批判するどころか‘ひたむき’と言って褒めまくるのが
実情だ。

 これは本来なら駆け抜けた方が早く福本豊やイチローらが否定
する1塁へのヘッドスライディングを本来なら批判しないといけ
ないマスコミが‘ファイト溢れる勇敢なプレー’とむしろ褒める
のと酷似している。

 21世紀に入って唯一の三冠王である松中信彦など典型で壊れる
寸前まで鍛えるというやり方で三冠王までなったのだが、30代
半ばになっても同じやり方に拘ったばかりにケガを誘発させ数年
前など試合中に走り出して肉離れを起こすなど心あるファンを
呆れさせた事まであった。

 これなどマスコミがオーバーワークを批判していれば多少は考
えも変わるのだろうが、オーバーワークを好意的に評価するから
こその悲劇だろう。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 宇宙戦艦ヤマ... 明日から中学... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。