具志堅用高に試合前のアイスクリームを食べさせなかった原因は

　先日ジムを閉鎖し元WBA：Jフライ級王者の具志堅用高がバラ
エティ番組の中で、故郷の沖縄で行われた14回目の防衛戦で敗れ
た理由として計量語にルーティーンとして食べていたアイスクリ
ームを会長に取り上げられた事を度々話していた。

　映像付きで面白おかしく語られるわけだし具志堅自身も真剣に
語るし、当事者である金平正紀会長が既に亡くなっているので反
論する者もいないのだから定番になっているようだが当時を知っ
ている私にとっては故・金平会長の気持ちも分からないわけでは
ない。

　というのは具志堅の13回目の防衛戦から1か月半後の11月25日
に行われたWBCウエルター級タイトルマッチである。

　今から40年前にニューオリンズで行われたWBCウエルター級タ
イトルマッチで前王者のシュガー・レイ・レナードが王者ロベルト
・デュランに9RTKO勝ちしタイトルを奪回したのだが、試合後に
トンデモな話が出たのだった。

　5ヶ月にモントリオールで行われた初戦ではアウトボクサーのレ
ナードが打ち合いを得意とするデュラン相手に正面から打ち合い
0－3の判定負けでデュランがタイトルを奪取したのに対し、今回
はレナードが距離を取ってデュランの接近を許さず迎えた9Rに
デュランが背中を向けギブアップしたのだった。

　終了後ギブアップの原因を腹痛に上げていたデュランだったが
計量でパスした後に魔法瓶1本分のコンソメスープと半分の紅茶
に大きなオレンジを食べると13：00に大きなTボンステーキ2枚、
フレンチフライを食べながらオレンジジュース大コップ4杯に
17：00にはステーキ1枚と大量の紅茶を飲み食いしたという報告
が出ていた。

　つまりデュランは計量後の食べ過ぎというのが試合中の腹痛の
原因だったと言えるわけで、10月の具志堅の防衛戦では計量後に
食べまくったためか試合後に戻してしまうという事があったらし
い。

　ボクサーのコンディションというのは積木細工を組み立てるよ
うな繊細さを要求されるのだから、故郷の沖縄で絶対に負けられ
ない具志堅陣営にしてみると内臓が弱っている具志堅が計量直後
に冷たいアイスクリームを食べるのはリスクが高いと考えたと思
われる。

　まぁ具志堅の本当の敗因は長期政権ゆえのストレスとモチベー
ションの低下というのが最も大きいようだが仮にアイスクリーム
取り上げを敗因にするのなら、1ヶ月半後に行われたデュランの計
量後の暴飲暴食を原因にした腹痛によるギブアップが遠因になって
いるのではないだろうか。