円谷とCG

 先週話題になったのが、円谷プロがTYOに買収された事。
 私的には円谷スタッフは職人集団だから、経営はその道の
プロに任せた方がいいと思っていたのでショックは受けな
かった。
 ただ、うるぱぱさんのヒーローマテリアルなどでTYOの
社長がミニチュアセット使用に対して「伝統芸能」と言い、
「リアルなCGで合成した映像には勝てない」とコメントし
たようだ。
 伝統芸能というのは、’伝統がある’という誉め言葉と
’古くさい’という否定形とある。
 確かにCGの進歩は凄まじく、それに対しミニチュアセット
使用はリアルさにおいてCGには勝てないし経費がかかる代
物だ。
 ただいくら日本のCGが進化しても、ハリウッド映画ほどは
予算をかけられないしハリウッド映画に勝ち目がないのは
間違いない。
 なぜハリウッド映画と円谷作品が共存できたかと言えば
’伝統芸能’という個性のおかげだと私は思う。

 余談ながら84年頃の雑誌・宇宙船で遺作’さよならジュピ
ター’に出演した平田昭彦は「私はスターウォーズのような
特撮は好きじゃない、手作りのよさというのがないのだ。
だから手作りの職人芸である日本の特撮は大事にしたい」と
インタビューで応えていた。
 一方で円谷英二とコンビを組んでいた本多猪四郎は「私は
スターウォーズのような技術は好きですよ。やはりミニチュ
アでは限界がある、円谷さんが生きていたら絶対に使うと思
うよ」とコメントしている。
 実際モスラで本多監督の下で助監督をしていた野長瀬三摩地
監督は「特撮は、どうしても制約が多いのでアニメの方が有利
になるのは仕方がない」とウルトラQのフィルムブックの中で
インタビューに応えている。
 
 これを見る限り円谷系の人々がCGを否定しているのではない
というのが分かる。
 ただいくらリアルなCGを使おうと、ストーリーが悪ければダ
メという大前提を守らないといけない。
 ウルトラQからセブンまでの第1期ウルトラシリーズの人気が
未だに衰えないのは、今とは比べものにならないぐらい特撮が
チャチでもストーリーが秀逸だからというのが大きいと思うのだ。
 TYOのお偉方も、この大前提を忘れては画竜点睛を欠く事になり
かねない。しかしストーリーや本編が、しっかりしていれば第1期
の頃に映像化が不可能でボツになったデザインの怪獣や宇宙人と
ヒーローを戦わせる事ができるのだ。
 
 とかく日本人は極端から極端に流れるきらいがあるので、TYOと
組んだ新作の出来を見てから判断したいと思う。 
 
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
伝統芸能大いに結構! (怪人太郎冠者@1553)
2007-10-25 23:21:12
いくら体制が変わったってこれまで先人が築いてきたモノを頭ごなしに否定するなどもってのほかです。
ヴィスコンティの「山猫」の決めゼリフは「変わらないためには変わらなければならない」ですが逆もまた真なり、「変わるためには変わってはならない」なんです。
特撮がチャチだとしたら、同じ伝統芸能だってセット作りや立ち回りはチャチでリアルさが全くありません。それこそ今の社長には噴飯なシロモノでしょう。それでも噴飯なシロモノが素晴らしいのは物語や演技の素晴らしさにあると思います。
仰るように特撮が幾らすぐれていても、物語がお粗末ではお話にもなりませんからね。今だからこそ「ウルトラマン・ジャイアント作戦」「ウルトラセブン・宇宙人15+怪獣35」見たいです。
 
 
 
…微妙 (金色の流星)
2007-10-26 01:02:30
あの社長の言う事も解らなくは無いのですが、全否定だけはしないで貰いたいものです。
ウルトラマンが「特撮」から「CGアニメ」に変わる事だけは辞めて貰いたいです。
短文ですが、コレだけは言いたかった。
 
 
 
書き込み御礼&レス (こーじ)
2007-10-26 23:32:07
>怪人太郎冠者@1553様
 今の技術なら「ウルトラマン・ジャイアント作戦」や「ウルトラセブン・宇宙人15+怪獣35」はできるでしょうね。
 何でもリアルにやり過ぎると意外につまらなくなる
傾向が強いですからね。
 そのスキがあるからこそ現代まで生き残っているのですから。

>金色の流星様
 気持ちは大いに分かります。
 CGアニメ版のウルトラは、まず一般の連中が許さないでしょう。
 だってジョニアーズやUSAのファンには悪いですが、
アニメ系のウルトラは、ほとんど話題になってませんよね。
 
 
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