日本の野球ファンは年配者を中心にバント好きが多く後続打者が
打てそうにない場面でバント失敗の後に点が入らなくても‘バント
失敗が流れを悪くした’と批判するし、送りバント成功後に点が入
ると‘得点圏にランナーを進めた事で相手にプレッシャーがかかっ
た’というように肯定的に捉えるケースが多い。
だからMLBで流行している打てる打者を2番に入れると打線も
‘2番は肝心な場面ではバントができなければ’という理由で今ひ
とつ広まらないわけだが、広尾晃氏のブログによれば今シーズンの
セ・リーグのバント数が激減しているようで個人的にセ・リーグ復
権の第一歩になればと思ったりする。
ハッキリ言って最近の選手達はバントが下手なのは高校野球をはじ
めとしたアマチュア野球を見れば分かる。
かつて高校野球はランナーが3塁にいると例え4番でもスクイズを
するのが当たり前だったのだが今では甲子園常連校の4番がバントを
するシーンの方が稀だし、バントの場面でも‘ランナーを2塁に進め
させてもアウトをありがたく戴く'的な守り方が多い。
バントは意外に難しいので高校時代から身を入れてやらないとダメ
だし昔は4番でもバントやスクイズができないと起用してもらえない
ので一生懸命やっただろうが、今ではプロに入るような打者はバント
練習を必死にやる雰囲気ではないのではないか。
更に即戦力と呼ばれる大卒や社会人出身投手は東京六大学出身者
を除くとDH制でプレーしているので、打席に入るチャンスがない
のでバントが下手なのは当然だろう。
ただし甲子園常連校でプロに行くような選手はアウトになっても
ランナーを進められる進塁打を打つテクニックは昔よりも優れてい
るはずだから、下手なバントに拘るよりも併殺というリスクはある
ものの進塁打を打たせる方が上手くいけばビッグイニングを作れる
チャンスもあるのではないか。
打力の進化が著しい最近の野球では特に試合の前半は1点づつ積み
上げていくより投手の立ち上がりが不安定なうちに畳み掛けてペー
スを握る必要があるので、むざむざランナーを2塁に進める代わりに
アウトを1つ献上して投手を落ち着かせる早い回の送りバントは時代
の流れに逆行するものだと思うのだ。
10年の日本シリーズ・ドラゴンズ-マーリンズのG6で引き分けた
試合中に両チームが何度もノーアウトのランナーを出しながら得点
できなかったのを見て ‘ピッチャーは1アウト2塁を作られたら意外に
楽ですから'とゲスト解説の野茂英雄が言っていたのを忘れてはいけ
ない。