ボクシング界も本格的に暑さ対策を しなければ

 GWに行われた世界戦シリーズの中で個人的に最も注目していたのがタイでの
防衛戦に臨んだWBC:Sフライ級王者の佐藤洋太で、ファイティング原田が負けて
以来16敗1分と日本人が勝った事がないタイで初勝利を挙げ歴史に名を残せる
かと期待していた。


 挑戦者のシーサケットは18勝中17KOの強打者とはいえ同じく強打のシルベス
ター・ロペスや赤穂亮を完封したマジカルボックスの異名を取る変幻自在の
テクニックを駆使できれば例え敵地でもポイントを奪えると考えていたし、シーサ
ケットのようなタイプこそ佐藤にとってオイシイ相手とも思っていた。


 ところが試合が始まるとスイッチを繰り返すスタイルの挑戦者がサウスポーのみ
で激しくプレッシャーを書けると足を全く使えずに押し込まれ続け、いいところなく
8Rにストップされたのだった。


 海外での世界戦で苦戦する原因は大きく分けて地元判定とコンディショニングの
難しさが挙げられる。


 ただ昨今は海外の試合でも露骨な地元判定というのは見受けられなくなっており、
実際4R終了時点での公開採点でも36-40を覚悟していたにも拘らず39-37が
2人と むしろ‘よくぞ佐藤に1ポイントくれていた’と思うぐらいだ。


 一方でコンディショニングという点では試合前に40度近い蒸し暑さの中で30分
以上セレモニーが続いた事について佐藤陣営は想定の範囲内と敗因に挙げて
なかったのだが、個人的にはコチラの要素=暑さへの馴化不足ではないかと
考えている。


 92年にJリーグが発足する前の日本サッカーがW杯は おろか、五輪にすら出場
できなかった理由の1つが暑い場所でのコンディション作りのノウハウがなかった
事が挙げられるだろう。


 サッカーの予選は一箇所集中開催のセントラル方式とホーム&アウェー方式が
あるのだがセントラル方式の場合はマレーシアなどの東南アジアで開催される
ケースが多く、アウェーの中東での試合も暑さ対策が重要項目になるのに対し
アマチュア時代の日本には暑い場所での馴化ができなかったのだ。


 基本的に現地の暑い気候に馴化するためには早めに現地入りして2週間ほど
過ごすか、数日前に現地入りして暑さによる疲労が出る前に試合をするという
2種類の対策法がある。


 逆に現地入りして1週間以内に試合というのが馴化が中途半端で疲れが出や
すいというデータがあるそうで、04年に行われたW杯アジア2次予選でシンガ
ポール相手にジーコの発案で5日ほど前に現地入りしたところ後半別人のように
日本の足が止まって苦戦した事があった。


 ボクシングの場合は予算や調整の都合もあるのでサッカーのようにはいかない
のは百も承知だが、次回タイなどの暑い場所で戦う場合は他競技のノウハウを
試してみる必要があるのではないだろうか。


 敗因を‘相手が強かったから’という短絡的な総括で終わらせていては、いつ
まで経っても日本人が海外で苦戦するのは避けられないと思うのだ。

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