‘試合に出ない選手’の必要性

 先日Numberのコラムで戸塚啓氏が2002年サッカーW杯で、フィ
リップ・トルシエ監督が中村俊輔を落選させ中山雅史と秋田豊を
選出した話を扱っていた。

 トルシエは自らのチーム作りとしてスタメンで出場する選手だけ
でなく途中出場で力を発揮する選手に、試合に出場しなくてもチー
ムを支えることのできる選手という3つのグループに分けていたが
3番目の試合に出ない選手が最も大事だと著書のトルシエ革命でも
語っていたのを思い出す。

 思えば試合に出ない選手はベテランが多く02大会では中山と秋田
だったが、10大会では川口能活が同じような役割で選出されていた。

 他にも第2回WBCで原辰徳監督は川崎宗則を同じような形で選出し
川崎は自ら役割を理解した‘スタベン
=ベンチスタート’と呼称して、
ベンチのムードを大いに盛り上げていただけでなくスタメン出場し
た準決勝のアメリカ戦では活躍していた。

 また04アテネ五輪では故・木村拓也がムードメーカーだけでなく、
キャッチャーもできるユーティリティープレイヤーとして選出され
ていた。

 さらに72ミュンヘン五輪の男子バレーにはベテランの中村祐造と
南将之を選出し松平康孝監督は2人に‘君達はチームが好調な時は必
要ないけど、金メダルを取るために必ず来る逆境の時には必ず使う’
と伝え、実際に準決勝のブルガリア戦は2セットダウンから2人が
途中出場しハッスルプレーで試合の流れを変え3セットを連取して
金メダルにつなげたのは有名だ。

 一方で上手い選手ばかりで固めた06ジーコジャパンや14ザッケ
ローニジャパンはグループステージ敗退しているのを見ると、や
はり試合に出て活躍する選手ばかりでなくモチベーションの高い
試合に出ない選手の存在は大きいと実感するのだった。

 

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コメント
 
 
 
そういう意味で言うと、 (Bill McCreary)
2020-05-19 12:32:15
74年のFIFAワールドカップで、西ドイツ代表(当時)が、オフェラーツとネッツァーを要していたのも大きかったですね。ベッケンバウアーはネッツァーを好きでなかったようですが、他チームからすればいつネッツァーが出てくるかわからないのだから、いろいろ戦術その他で苦しんだところも大きかったはず。当然オフェラーツにしても、自分がだめならネッツァーがいるわけで、さらにプレーに磨きをかけないといけないわけです。

ラグビーなどはフロントローばかりでなくHBほかも代替選手当然だし、選手交代の枠やベンチ入り選手の数も増えてきている傾向にありますから、選手交代に制限があるスポーツでも、「試合に出ない選手」の重要性はますます高くなるんじゃないんですかね。
 
 
 
たしかに (こーじ)
2020-05-19 20:49:18
>Bill McCreary様

 ネッツァーとオフェラーツの問題は東ドイツ戦の後半ネッツァーが出場した後半に失点して敗れてからネッツァーの出場機会がなくなったとの事ですけど、とはいえオフェラーツにとってネッツァーが控えているのはプレッシャーと共に励みでもあったでしょうね。

 この関係10年W杯でオフェラーツを本田圭佑、ネッツァーを中村俊輔と被って見てました。

 ラグビーのリザーブは全員使えますから、もはや控えではなくジェイミー・ジョセフが言うインパクトプレイヤーの方が合うと思います。
 
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