ウルトラセブンEP42・ノンマルトの使者

 ウルトラ史上に残る問題作でもある‘ノンマルト・・・’だが、当初は夏の
怪談モノっぽい感覚で作られたのだろう。
 というのも今回登場するノンマルトが操るガイロスは、41話に登場した
テペトと同じく公募されたデザインの怪獣だったようだ。
 死んだはずの子供が現れて警告するというのも同じ金城作品ではウル
トラマンの20話‘恐怖のルート87’でも使われている。
 それが‘地球の先住民族との戦い’という題材になったので地球ナショナ
リズムを描いた‘ダークゾーン’や‘超兵器R1号’ を凌駕する作品になった。

  冒頭イデ隊員が海底開発センターの職員として登場している。
 海水浴に来たアンヌにオカリナを持った少年が声をかけ‘海底開発を
中止させろ’と警告に来るが、その直後にシーホース号が爆発炎上して
沈没する。
 実は長官の所にも子供の声で‘海底開発の中止を求める警告’の電話が
来ていたらしい。

  警告に来た真市少年はダンが変身しようとする場所に次々と現れるの
で、この時点でタダ者ではない!
 ダンも真市少年の目の前で変身してしまうし・・・・

 一応ガイロスが登場するが、ハッキリ言って現れなくても殆ど関係なかっ
た感じだ。
 最後にセブンと戦うが、あっさりやられてしまうし・・・・

 それよりもノンマルトが奪った原子力潜水艦・グローリア号の方が強
かったように見えたのだが、グローリア号を追跡してノンマルトの海底都市
を発見し攻撃して全滅させたのは‘海底軍艦’ のノリだ。
‘海底軍艦’ならば、これで‘めでたし、めでたし’なのだろうがセブンでは、
そうはいかない。

 本来は海で死んだ真市少年の霊がノンマルトの使者になってメッセン
ジャーとして登場するのが狙いだったのが、地球ナショナリズムの代表
的なEPとなってしまった。
 これが金城哲夫にとって約8ヵ月後の沖縄への帰郷につながって
しまったのだろうか?

 金城氏が亡くなった今、

永遠の謎になっているのだが。

 ノンマルトのモチーフテーマは、その後‘虐げられし者’というイメージで
使われ次の‘第4惑星の悪夢’や帰ってきたウルトラマンでは‘ふるさと
地球を去る’や‘怪獣使いと少年’で効果的に使用されている。 

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コメント
 
 
 
やっとこの作品が・・・ (トクタサツオ)
2008-07-22 21:13:40
やっとこの作品をUPなさいましたね。
お待ち申し上げておりました。

はいかなりインパクトのある作品でウルトラの歴史に残るものでありましょう。

トクタサツオは「ウルトラセブン」で一番印象に残るものはと聞かれるとこの作品をあげることと思います。

そうですね演出が怪談(苦手、ブルブル)っぽいところもありましたよね。

そしてこの真市少年の出だしも印象的でした。
彼は浜辺の波打ち際を走って現れるのですが、水に濡れることも厭わずに走り続けるのでした。

ここがもうかなり「おや?」と思わせるものでした。

そしてあのラスト・・・。

そうあのテーマ曲とともにとても印象に残っています。

VHSを持っていますが、何度観ても変わりません。

もちろんアンヌ隊員もすてきですね。
 
 
 
グローリア号の秘密 (怪人太郎冠者@1553)
2008-07-22 21:52:18
>それよりもノンマルトが奪った原子力潜水艦・グロー
>リア号の方が強かったように見えたのだが、
そりゃそうでせう。何せグローリア号はQのジャンボーと共通仕様。しかも、そのジャンボーは後日2号艦も登場し、そのときはMJ号あらためマイティ号は撃沈できなかったのですから(内部の仕様変更したからかな?)、いかに日本生まれのジャンボーが優秀でQもそこらを高く評価していたか。
なお、1号艦を作った黒崎鉄工は今は栃木県の黒磯近くで細々とやっています。一方黒崎市はその後、北九州市になりましたとさ、ほんにや~れやれ。
 
 
 
ノンマルトの奥深さ (怪人太郎冠者@1553)
2008-07-22 22:06:35
連投ですみません。
以前、旧TFCでも触れたのですがノンマルト、その正体は謎のままでいいというのが持論ですが、その姿に私は沖縄の先住民族の姿がダブります。
この物語は、Qの「五郎とゴロー」マンの「まぼろしの雪山」とともに金城氏の「のけもの三部作」という感もあります。

しかしこのノンマルト、M78星雲では地球人のことを言うそうですが、確か赤い玉の中でウルトラマンとゾフィーは地球人を地球人と言っていたのが謎ですなあ……。

でもって「わたしは地球人」未見ですが、あれはやるべきでなかったと思います。ノンマルトの正体は謎のままでいいのですから。
しかし、ウルトラの地球人はどこから来たか、それを差し引いても謎なのです。3億5000年前にはアボラスとバニラを封じた古代人がいて、氷河期になるとポール星人に凍結された地上にいた人類は地底に移住し、7000年前にはドドンゴを操っていたミイラ人間がいて、海底には人間ほどの知能はないにせよラゴンもいたし(ラゴンっていつごろでしたっけ)、そして今の人類がいて……。
ケロニアの進化とともに「謎」です。
 
 
 
書き込み御礼&レス (こーじ)
2008-07-23 00:16:32
>トクタサツオ様
 この企画は、ちょうど40年前と同じ日にOAされたという事でアップしているのですよ。
 だから7月21日にOAされたわけですが、夏休みに入って最初の日曜日がコレだったわけですね。
 実際に波打ち際を濡れながら走ったら靴などがビショビショになって気持ち悪いですよ。
 まぁ第1期を代表するEPですからね。


>怪人太郎冠者@1553様
 なるほど、ジャンボーは北九州市製作だったのですね。いずれも金城ー満田作品です。
‘ノンマルトは謎のまま’というのは今日のネタで
扱わせてもらいました。
‘わたしは地球人’は1度ぐらいは見ても面白いですが(ウインダムとミクラスのタッグマッチもあります)
何度も見ると気が滅入ります。
 まさしく‘見なければよかった、知らなければ心置きなく戦えた’というダンのセリフそのものです。
 
 
 
セブン第42話「ノンマルトの使者」について (A-chan)
2020-10-30 02:25:09
こんばんは。
「ノンマルトの使者」これは「セブン」いえウルトラシリーズの一番の問題作ですね。地球の先住民・ノンマルトが居住地である海を守る為に侵略者である人間に攻撃をしてくる話。
もし人間が宇宙からの侵略者だったとしたら、何故文明が衰退してしまったのか?恐らく、チャンスを窺っていた内部の穏健派が侵略派の隙をついて彼らを一掃。勝利した穏健派は過ちを繰り返さない為にそれまでの文明を破棄して一からやり直した・・・・・・。
だとしたら、ノンマルトは文明を無くした人間達と和解して共存している筈なんですけど?
人間の少年を使者に選んだという事は、全ての人間が敵では無いという事を把握しているという事。海の居住地を荒らされたくないのだったら、一般人の少年を使者にするよりも自分達の存在を示して直接訴える方が効率が良いのは分かる筈ではないですか?

実のところ、私はあの連中をノンマルトと思っていません。人間は海底開発の準備を始めただけで、ノンマルトの居住地に危害を加えた訳ではありません。
ノンマルトを名乗る連中は何をしたという訳でも無い海底開発のスタッフ達を殺害し、明確なコミュニケーションを取る為に真市少年の身柄を確保しようとする地球防衛軍の隊員達を殺害し、挙句の果てには何の関係も無い一般の町々を破壊しました。そこに住む何も知らない多くの善良な人々、子供達や赤ちゃんも犠牲になった事でしょう。
ノンマルト(?)は爆弾や火器のような兵器は所持していないようですが、暗躍により兵器を奪ったり、ガイロスのような生物兵器を生み出す技術は持っています。セブンの加勢が無ければウルトラ警備隊も危なかったかもしれません。
コミュニケーションも取らずに一方的な殺戮を繰り返す以上、ウルトラ警備隊はノンマルト(?)を殲滅せざるを得なかったのです。

仮に過去の人間がノンマルトを滅ぼした事実があったとしても、過去は過去。セブンは今現在の善良な人々を守っているのであって、侵略者を守っているのではありません。
ただ、その純な心をノンマルトを名乗る連中に利用されたと思われる真市くん(の霊)は可哀そうだと思いますけど。
 
 
 
武上純希氏が (こーじ)
2020-10-31 13:10:53
>A-chan様

 今でこそ問題作とされているノンマルトですけどアンヌ隊員役だった菱美ゆり子さんが何かの番組で‘夏の怪奇シリーズ的な形で金城さんが作った話でもある’と語ってましたが、確かに同じプロットとしてはウルトラマンのヒドラ編のムトウ・アキラ君的なキャラが真市君だったような感じでしょうか。

 とりあえずサラりと終わらせようとしたのが金城さんの死後に武上純希氏が平成セブンで続編を作ったため、更に話が地球人侵略説に傾いて行った感が強いと思ってますし満田監督も平成セブンの話はあまり好んでしてないので今さら感が強いのではないでしょうか。

 そういう意味ではノンマルトの決着は金城氏が亡くなった以上、文字通り永遠の謎になっていると思います。
 
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