今から40年前の今日74年4月11日はガッツ石松がWBCライト
級王者のロドルフォ・ゴンサレスを8RでKOし、3度目の挑戦で世
界タイトルを奪取した日である。
ガッツ石松といえば当時は縞の合羽に三度笠という股旅スタイルで
リングインするボクサーというイメージで、他には東洋王者時代に愚
連隊相手に大立ち回りをした事で印象があったぐらい。
しかも過去2度の世界挑戦は いずれも敵地・パナマだったから3度
目の世界戦といわれてもピンとこなかったし予想は当然不利。
ところが石松は優勢に試合を進め8Rに後に‘幻の右’といわれる
右クロスで王者をダウンさせレフェリーのロングカウントなどの妨害
にも拘らず倒しきって見事に伝統の世界ライト級タイトルを獲得した
のだから驚いた。
日本には当時ライト級には石松よりもパンチ力のある門田新一や
テクニシャンの高山将孝ら石松以上に評価の高かった選手がいたの
で、リングインの股旅スタイル以外はこれといった特徴もなく既に
11敗していた石松が世界を取るとは思わなかったのだ。
ただ初防衛戦では格下と思われたチェリー・ピネダに辛うじて引き
分け防衛したので‘奪取はまぐれ’といわれていたがゴンサレスとの
再戦をKOで返り討ちにし、3度目の防衛戦では元王者のケン・ブキ
ャナンに快勝して最終的に5度の防衛に成功した事から歴史に名を残
す王者になった。
余談ながら この年は10月に石松以上のハードパンチャーの門田が
Jウエルター級王者のアントニオ・セルバンテスに挑戦したが8Rまで
8度のダウンを奪われKO負け。
東京五輪代表の肩書きを持つ高山も12月にコスタリカに乗り込んで
WBAライト級王者のロベルト・デュランに挑戦し1RでKOされて、
それ以来 両者とも世界挑戦のチャンスがなかったのだから人生とは分
からないものだと つくづく思う。