宝石ざくざく◇ほらあなJournal3

ロシア語をはじめ、外国語学習に関するあれこれを書いておりましたが、最近は…?

ゆっくり進む秋の日差しを2

2021年09月21日 | 
『僕と魚のブルーズ 評伝フィッシュマンズ』(川﨑大助 イースト・プレス)を読む。

おもしろくて一気に読んでしまった。

以下「フィッシュマンズを知らなかった私」の感想。

『映画:フィッシュマンズ』で初めて個々のメンバーのことを知って、こういう人たちがこの音楽をつくっていたのかとたちまち好感と親しみを持ったのだったが、肝心のフロントマン佐藤伸治については、焦点が結ばれず、よく分からない感じがあった。
それが、この本を読むことで、具体的な像が立ち現れたことがまずおもしろかった。
書かれているエピソードや会話、インタビュー記事の言葉が、映画で知ったあの容姿とあの声で再現されて「知っている人」になった。

次に、90年代のライブ事情や音楽産業周辺のこと、「渋谷系」の萌芽について読めて興味深かった。疎いながら私も当時の若者だったので、当時の空気を思い出したりもした。

年代を追っての、フィッシュマンズ作品についての感想、解説はもちろん興味深かった。サブスクリプションや歌詞検索ですぐに確認できるのも、こういう本を読むには便利な時代だ。もとからのファンの人は自分は違うと思うこともあるのだろうけど、私は初心者なので、なるほど、と。

映画の中で、テレビドラマの主題歌だったのにヒットしなかったと言っていた「100ミリちょっとの」、どんな駄作?だったのだろうと聴いてみたら、すごく良くて私には懐かしい感じもあった。著者も高評価でやっぱり、と。このドラマ主題歌枠、前作はオリジナル・ラヴの「月の裏で会いましょう」だったそうで、91年は私大学卒業の年で、そこから数年間がいちばん知らないことが多いのだな・・・

欣ちゃんファンだからというわけではないけど印象に残った描写。
「いかれたBaby」発表前のラジオ番組で、こういう感じの曲?の問いかけに「そういうんじゃ、ないんだなあ」とにやにやしながら「ほんと、佐藤さんってさあ、すごい才能だと思うよ!」と嬉しそうに言う欣ちゃん・・・

「いかれたBaby」について、このサイトで、インタビュアーが女の子だからか、しれっと欣ちゃんが、当時の佐藤さんの恋人MariMariの影響を語っている。やっぱりね、そりゃそうだ。
しかし、この本の中ではそういうことは書かれていない。(映画もそれに倣ったのではないかと思ったり)曲解釈の幅を狭めてしまうからというのもあるだろうし、分かる人には分かるだろうってことかな? そのあたりをナマに書かないところにも著者に好感を持つ次第。

終章「さらに、それから」でのフィッシュマンズ=めざすべき目的に向かう少年チーム(映画「スタンド・バイ・ミー」のような)という見立て、私は腑に落ちたし、この章で、佐藤伸治という人のことがさらに「知っている人」になったように思った。

まとまらないし、なにか違うことが書きたかったのだけど、とりあえず。


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