yahoo! で見かけた記事
「伊藤みどり54歳が、国際大会を連覇。宇野昌磨と坂本龍一の美学を胸に『私の生きざまを伝える』」
「坂本龍一の美学」におやっ?と思い、読む。
国際アダルト競技会に出場したみどりさん、プログラムに選んだ曲は坂本龍一さんの『Aqua』。坂本さんの最後のピアノソロ演奏の映像を見る機会があり、どうしてもこの曲で滑りたいと思ったという。
このピアノソロ演奏を記録した映画『Opus』を、私は先日観たところだったので、この記事に書かれているみどりさんの気持ちがよく分かった、というと僭越すぎるけれど、この映画から受けた感覚をみどりさんが体現しているーと思った。
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最初に、坂本さんの生前、この演奏をNHKの番組で観た時は(配信は観られなかった)、痛ましい気持ちが先に立ってしまい、演奏も全盛期の輝きは失われ「衰えた」ように思ってしまった。
なので、映画を観に行くのも少しためらいがあったのだが、映画館で観た感想は上記と大きく異なっていた。
一音一音、音が生まれてから完全に消え去るまで、全部の時間が丁寧な心配りで耳に届いてくる。「衰え」を予想していたからなおさらだったのかもしれないけれど、思いがけないほどの力強さも感じた。
演奏している姿からは、坂本さんが自宅の庭に置いていたというグランドピアノを想起したりもした。風雨にさらしたままにして、どのように自然に還っていくかを観察していたという。
安直な例えのようだけど、年輪を重ねた木、のようにも見えた。
坂本さんが亡くなってまもなくの、浅田彰氏による追悼記事(談)に「見事な『晩年様式』の達成」とあって、その時はよく分からなかったのだけれど、なるほどーと腑に落ちる感もあった。
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そして、記事中のYou Tube 動画で見た伊藤みどりさんのプログラム『Aqua』は、とてもステキだった。
40歳過ぎてスケートを滑る楽しさにハマった身としては、みどりさんの一つ一つの滑り、動きが、ほんとうに驚嘆すべきすばらしさ。
そしてなによりも、記事中にもあるけれど、スケートの楽しさ、スケートができる喜び、幸福感がいっぱいに伝わってくる。
みどりさんはお元気なので「晩年様式」というと語弊があるけれど、フィギュアスケーターとして、全盛期とはまた違う感動をもらった。
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自分事として、ここのところ、足裏、足首、膝の不調があって、認めたくはないけれど、トシをとってからスケートにハマった影響もあるのでは…と思ったりもして。…もともと膝を曲げるのは苦手で、腰を落として滑るランジも「どっこいしょ」という感じではあったのだが…
で、足は悪くしたくないし、時間もないし、スケートはもう諦めるべきか…と昨年は1回も滑りに行かなかったのだけど、いやーまたやりたくなってしまった。ぼちぼち調子を整えられるようにがんばろう。
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映画『Opus』、県内では家から近いイオンシネマで公開だったのが意外だった。田舎の日常の中に(映画が)来てくれるのは、ありがたいけど寂しいようなもったいないような。でも館内は周囲から独立した親密な空間であった。やっぱり坂本さんは「師」であった、などとも思った。近いが上映時刻に自分を合わせられないのが悔しい。なんとかもう1回観たい。
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