宝石ざくざく◇ほらあなJournal3

ロシア語をはじめ、外国語学習に関するあれこれを書いておりましたが、最近は…?

これからの日本社会に

2021年09月05日 | 
図書館から返却の督促がきてしまったので、借りていた本について取り急ぎ。

『つまらない住宅地のすべての家』(津村記久子 双葉社)
これは傑作だった!
個人的には『ディス・イズ・ザ・デイ』に続く、これからの日本社会のあり方を示唆する大事なことが描かれている小説だと思う。
同時に借りた本に『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(鴻上尚史 佐藤直樹 講談社現代新書)があり、鴻上さんの「世間」についてのお話は他書でも読んでいたのだけど、津村さんの小説は、まさに壊れかけた世間で、どう人と人が緩やかに繋がりあっていけるかということが、希望を持って描かれている。
知らないだけかもしれないけど、「個人」「家族」「恋愛」「友情」以外の、人との関わりに重点を置いた小説というのはあまりなかったように思うのだ。
おもしろく読ませるための技巧もすごい。
派手な事件が起こるわけではないのだけど、読んでいくうちに点と点が繋がって「そういうことか!」と合点する快感ポイントが次々にあって飽きさせない。
そして、最後まで読んでちょっとほろっときてしまった。
登場人物も実に魅力的。
個人的にはオンラインゲームとか、二次元アイドル(?でいいのかもよく分からないが)とか全く未知の世界だが、それが好きな人の目線に立ってなんとなく分かるように描かれている。
そうそう(ブレイディみかこさんの本にあったが)シンパシーは感じないけど、エンパシーは得られるというのは、これか。
エンパシーの醸成は小説の大切な役割で、それが存分に得られるこの小説はやっぱり傑作なのだ。

『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(阿佐ヶ谷姉妹 幻冬舎)
エッセイは当然のようにおもしろいのだけど、お二人による小説がまた上手で印象的でおもしろくびっくり。「神は細部に宿る」ということで、お二人それぞれの個性とか愛着とかが細かい設定とか小道具とか会話とかに反映されているのがいいのかな。
そして私は阿佐ヶ谷姉妹お二人のことを、一見老成して見えるけど実は年齢は30代くらい?と思っていたのだけど、自分よりは年下だけど実はそんなにも下ではないということを初めて知り、なるほど。
エッセイに出てくる例えも、私は共感しきりだが、お若い層には「?」なのではというのもあり(^^;

最新の画像もっと見る

コメントを投稿