東京多摩借地借家人組合

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東京簡裁判決で消費者契約法で原状回復特約が無効とされた

2006年03月25日 | 敷金と原状回復
(問)東京でも敷金返還請求裁判で自然損耗を含む原状回復特約は消費者契約法10条に違反し無効という判決があり、敷金全額が返還されたということですが、どんな内容の裁判だったのか。
(答)2005年11月29日の東京簡易裁判所の敷金返還裁判で自然損耗を含む原状回復を総て借主の費用負担で行わせる特約の有効性を争った訴訟で、その特約が消費者契約法10条に違反し無効とされた。そして貸主に対して敷金全額(13万6000円)の返還を命ずる判決があった。


 裁判の概要
 借主は貸主のA株式会社との間で平成8年3月、杉並のマンションの賃貸借契約を締結した。その後、2年毎の合意契約での更新を3回繰返し、平成16年3月1日に法定更新された。被告(新家主)は平成16年7月22日に所有権を取得し、賃貸人の地位を承継した。借主は平成16年9月23日に居室を明渡し、預け入れていた敷金13万6000円の返還を新家主に求めた。
 ところが、新家主は「原状回復特約」による修復費用が18万390円で、敷金から控除すると追加費用が発生するので、その分(4万4390円)を支払えと反訴請求をして来た。


 裁判の判断
 東京簡易裁判所は、「契約書第11条に『明渡しの時は、原状に復するものとし、又、借主は故意及び過失を問わず、本物件に損害を与えた場合は直ちに原状に復し、損害賠償の責に任ずるものとする』と合意されている」この合意は「自然損耗等についての原状回復費用も負担することを定めたものといえる」と自然損耗を含めた原状回復特約の成立を認定した。
 その上で「貸主において使用の対価である賃料を受領しながら、賃貸期間中の自然損耗等の原状回復費用を借主に負担させることは、借主に二重の負担を強いることになり、貸主に不当な利得を生じさせる一方、借主には不利益であり、信義則に反する」加えて「自然損耗等についての原状回復義務を借主が負担するとの合意部分は、民法の任意規定の適用による場合に比べ、借主の義務を加重し、信義則に反して借主の利益を一方的に害しており、消費者契約法10条に該当し、無効である」として東京簡裁は敷金の全額返還を命じた。

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