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生活保護申請 1月ピーク 住まいのない人7割増

2009年04月04日 | 最新情報
 東京二十三区と政令指定都市で住居のない人が今年一月に申請した生活保護件数を本紙が調べたところ、データのある二十二市区全体で、前年に比べて約七割増えていることが分かった。

 一月は派遣切りなどによる非正規労働者らの“年越し危機”の影響もあって申請が急増したとみられるが二月も前年同期比43%増と、高い増加傾向が続いている。世界的不況による雇用情勢の悪化で、住居を失った人が生活保護に頼っている実態が浮かび上がった。

 二十三区と全国十七の政令指定都市のうち野宿者や簡易宿泊所、ネットカフェなどにいる住居のない人の月別の生活保護申請(一部は開始)件数を何らかの形で把握している名古屋市、浜松市、静岡市を含む二十二市区が回答した。

 調査によると住居がない人の一月の申請件数は二千三十三件と前年同期比69%増。二〇〇八年度は昨年四月以降、1-20%台の増加率で推移していたが十二月に36%増となり急増傾向が見え始めた。二月も43%増と高い増加率が続いている。

 一月の最多は、派遣切りなどで失職者が急増した愛知県内で他自治体からの流入が多いとされる名古屋市が二割を占めて、四百四十七件。

 次いで新宿区二百八十九件、千代田区二百七十八件、川崎市百八十九件、台東区百六十五件。前年比の増加率が最も高かったのは、年越し派遣村からの申請を多く受け付けた千代田区の六・七倍。名古屋市は二・八倍、浜松市二・三倍だった。

 住居のある人を含めた総申請件数は全四十市区が回答し、一月は約一万二千件と前年同期比六割増。うち二千百四十三件と全体の約18%を占める大阪や、横浜など十八市区は住居がない人のデータがなかった。

 大阪市の担当者は「実感では派遣切りなどで職と家を同時に失った人からの相談はかなり増えている」としている。

◆福祉事務所 悲鳴と疲弊
 世界的な不況で、住居のない人からの生活保護申請が急増。一方で、厚生労働省の調査では、三月だけで少なくとも三万六千八百人余の非正規労働者が失職した。職と住居を同時に失う人がさらに増えると懸念される中、東京都内や名古屋市など、住居のない人の生活保護申請が殺到する福祉事務所の現場からは「受け入れ施設はほぼ満杯。補給を断たれた最前線と同じ」「うちだけで対応するのはもう限界」などと悲鳴が上がっている。

 「年末に派遣切りに遭って寮を追い出された。仕事を探していたが、みつからない。お金も底をついてしまった」。ホームレスの支援専門窓口がある新宿区福祉事務所には二月から三月にかけ三十-四十代の男性からこんな相談が増えている。浜松から自転車で五日、宇都宮から徒歩で二日かけてきた人もいた。

 路上生活者やサウナ、ネットカフェなどを泊まり歩く住居のない人からの二月の相談は千百五十四件と昨年二月と比べて二倍超、ケースワーカー一人当たり一カ月で百六十六件の相談に乗った。宿泊先探しや書類づくりに追われる。同事務所の井下典男生活福祉課長は「休日出勤も多く、身体的にも精神的にも疲れ切っている職員が多い」と話す。

 年越し派遣村の実行委員会は、三月末に失職した非正規労働者らを支援する「春の面談、電話相談村」を八、九日に日本青年館(新宿区)で実施するが、特定の福祉事務所の負担が過重にならないよう配慮し、分散して保護申請する方針だ。

 井下課長は「受け入れ施設はほとんど空きがない。国が責任を持って各地に緊急避難所を確保し、そこで再就職や住宅、生活資金貸し付けなどの各種相談に乗る体制を整えるべきだ」と訴えている。

 <住居がない人の生活保護申請> 生活保護の実施責任は原則的に住居のある自治体にある。しかし、住居がない場合や病気などで生命の危険がある場合は要保護者が現在いる場所の自治体が扱う。年末年始の年越し派遣村で行われたのがこの形。保護決定の際は生活の本拠としてアパートなどの居宅への入居が必要だが、どうしても見つからなかったり居宅生活ができない場合は救護施設や更生施設などの施設で生活保護を適用できる。
(東京新聞 4月4日)
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