単身高齢者が急増し、最近民間賃貸住宅等においては、相続人の有無や所在が明らかでない単身者が死亡した際の賃貸借契約の解除や居室内に残された残置物処理の不安感から、高齢者の入居の申込を賃貸人が拒否することが問題になっています。
国交省と法務省は、賃貸人の不安感を払拭するために、死後事務委任契約を締結する方法について検討を行い、2021年に60歳上の単身者を対象にした「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を発表しました。
賃貸住宅の契約締結時に、①賃借人が死亡後、賃貸借契約の解除を行う代理権を受任者に授与する。②受任者に対し、賃借人の死亡後に残置物の廃棄や指定先へ送付する事務を委任する。以上2つのモデル契約を受任者との間で締結することになります。
受任者になれるのは、入居者の推定相続人か、それが難しければ居住支援法人か管理業者とされています。居住支援法人に指定される法人とは、NPO法人、一般社団及び財団法人、社会福祉法人、居住支援を目的とする会社等です。居住支援法人の行う業務とは、①登録住宅の入居者への家賃債務保証、②住宅相談などの賃貸住宅への円滑な入居に係る情報提供・相談、③見守りなど要配慮者への生活支援、④①~③に附帯する業務とされ、必ずしも①~④の全ての業務を行わなくてもよいとされています。
今後の問題として、安否確認・見守り費用、残置物処理費用、契約終了時の原状回復費用等について誰が負担するのか、モデル契約条項では残置物処理等の費用の清算は賃借人の相続人に請求できるとされているが、トラブルを避けるため賃借人に入居前に高額は預託金を請求されることも懸念される。(全国借地借家人新聞より)
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