東京多摩借地借家人組合

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更新料は協議によるとの特約を理由とする地主の更新料請求を東京高裁が棄却 借地人の全面勝訴

2016年09月07日 | 契約更新と更新料
 葛飾借組の組合員の渡辺さん(仮名)は、3年前に地主から更新料500万円と現行地代月額2万円を約1・7倍の月額3万3000円に増額するよう請求を受けました。

 渡辺さんは地主に対し組合を通じて更新料も地代増額も拒否する通知を出しました。なお、契約書には「更新料については協議による」と定められています。地主は調停に申し立てましたが、借地人の強い意思表示により不調となりました。地主は更新料231万円の請求で東京地裁に提訴しましたが、渡辺さんは全面勝訴しました。

 あきらめない地主は東京高裁に控訴してきました。東京高裁の判決文では「更新料の金額は当事者協議を前提にして定めることが認められる。更新料の支払いについては一義的・具体的に契約書に記載されていない。そして更新料の条項は一般的には賃貸借契約の要素を構成しない債務を特約により賃借人に負わせる意味において賃借人の義務を加重するものである。よって賃貸人の主張は合理性がなく具体的権利として発生しているとは解されない」とその請求を認めず控訴を棄却しました。

 賃料増額についても現行賃料が相当額であると判決が確定し、約3年に及んだ裁判はみごと渡辺さんが全面勝訴で解決しました。

(全国借地借家人新聞より)
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