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東京多摩借地借家人組合

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借地法定更新で更新料支払いの慣習は認められないとした事例

2009年02月02日 | 最高裁と判例集
 土地賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められないとした事例(平成一四年一月二四日、東京地方裁判所民事第四五部判決。未掲載)


(事案)
 Xは、東京都墨田区内に土地四二八・○八平方メートルを所有し、これをYに建物所有の目的で賃貸していた。
 右契約が平成一二年一〇月三一日の経過により満了するため、Xはその一○ヶ月前に期間満了の通知をした。
 YはXに対し、契約更新の希望と更新の際の条件の提示を要請した。
 Xは堅固建物の存在を前提として、契約期間を三O年とする場合の更新料を二O四O万九九六三円(一平方メートル当たり四万九一二五円)と提示。
 合意に達しないまま、平成一二年一一月一日、法定更新となり、XはYに対し、賃貸借契約の更新に当たっては、合意更新であると法定更新であるとを問わず、更新斜の支払いが条件になることは、現在では社会的な慣習となっていると主張して、更新料二O四O万九九六三円等の支払を求めた事案。Xの請求棄却。

(判旨)
 「YがXに対して本件賃貸借契約更新の条件の提示を要請したのは、YがXの条件の提示を見て、これに応じるかどうかを検討しようとしたものであって、更新斜の支払義務を認めたものということはできない。……また、賃貸借契約の法定更新の場合でも更新料の支払義務があるとする慣習は認められない」

(寸評)
 法定更新の場合に、更新料支払の義務があるとする慣習はないとするのが判例の立場であることは、周知のこと。それにもかかわらず、依怒として、更新料請求の訴訟が提起されるのは、更新料の支払拒絶を明言せずに、条件交渉をする賃借人が多いことをあらわしている。更新料交渉について注意を喚起するために紹介した。
(東借連常任弁護団  弁護土 田中英雄)

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